【今週の概況】

■早期利上げの思惑後退でドルは伸び悩む



今週のドル・円は伸び悩んだ。10月18日発表の中国の7-9月期国内総生産(GDP)の一段の減速や、米国の9月鉱工業生産の2カ月連続の落ち込みを受けてドル売り・円買いがやや活発となった。その後、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事の「もしインフレが年末までに弱まらなければ、利上げを早める可能性も」との発言や、日本の9月貿易収支の赤字継続などを受けて、ドル・円は一時114円70銭まで上昇。2017年11月以来のドル高・円安水準となった。ただ、114円台で利益確定とみられるドル売りが増えたことや、中国恒大集団の債務不履行懸念によるリスク回避的な円買いも強まり、ドル・円は再び114円を下回った。



22日のニューヨーク外為市場でドル・円は113円41銭まで下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はこの日開催された国際決済銀行(BIS)・南アフリカ準備銀行(中央銀行)のオンライン会合に参加し、「FRBは量的緩和の縮小(テーパリング)を近く開始すべきだが、雇用が過度な低水準にとどまっていること、来年には新型コロナウイルスの世界的大流行による高インフレが緩和される可能性があるため、まだ利上げすべきではない」との見方を伝えたことから、ドル売りが優勢となった。急速な利上げは景気を停滞させるとの懸念が浮上し、長期金利は再び低下したことがドル売りにつながったようだ。ドル・円は113円49銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:113円41銭−114円70銭。



【来週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、114円台でドル売り興味残る



来週のドル・円は伸び悩みか。米国の7-9月期国内総生産(GDP)速報値や9月PCEコア価格指数などの主要経済指標が予想を上回った場合、米連邦準備制度理事会(FRB)が年末までに債券購入の段階的縮小(テーパリング)に着手する可能性はさらに高まりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は早期利上げには慎重だが、年内にテーパリングを開始し、来年半ば頃に終了する考えがあることを伝えている。



原油高や米長期金利の上昇などを背景にドル・円は2017年11月以来となる114円70銭まで買われたが、ドル高・円安の急速な進行については、一部で投機的な円売りが増えているとの見方や、秩序だったドル高ではないとの声も聞かれている。また、1ドル=114円台後半から115円付近では顧客筋などのドル売り・円買いが増える可能性があるとみられており、原油価格の反落や中国恒大集団の債務問題など、新たなドル売り材料が提供された場合、ドルの上値は重くなる可能性がある。



【米・7-9月期国内総生産(GDP)速報値】(28日発表予定)

10月28日発表の米7-9月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+3.0%と、4-6月期の6%台の高水準から伸び率は大幅に鈍化する見通し。ただ、市場予想を上回った場合、景気減速懸念は弱まり、ドル買い材料になりそうだ。



【米・9月PCEコア価格指数】(29日発表予定)

29日発表の米9月PCEコア価格指数は、8月実績の前年比+3.6%並みの高水準を維持すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の資産買入れの段階的縮小(テーパリング)開始を後押ししよう。



予想レンジ:112円00銭−115円00銭