インフレは依然高い水準ながら、その圧力が鈍り始めている証拠が出始めた。投資家心理が改善しつつあり、相場を下支えしそうだ。投資家の恐怖心理を示すVIX指数が節目の20を割り込んだこともプラス材料だ。ただ、中間選挙を控えるなか強気相場に完全には転じ難く、依然もみ合いが主体となるだろう。



来週は小売決算や小売売上高に注目だ。ディスカウント小売のウォルマートやターゲットはコストの上昇や在庫の積み上がり、消費傾向の変化による利益率低下を理由にすでに見通しを大幅に引き下げている。高インフレで消費需要の鈍化が想定されるほか、コスト上昇やサプライチェーン問題が根強く、小売全体の業績に逆風となっており、警戒したい。また、FRBの金融政策を見通すうえでは、17日に公表が予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(7月26-27日開催分)に注目だ。



中間選挙を3カ月後に控え、民主党主導で、半導体法案やインフレ抑制法案などが次々に成立。インフレ抑制法案には気候変動対策や高齢者の医療費負担軽減などが含まれると同時に、財源として大企業に対する15%の最低税率導入、自社株買いに対する1%課税、さらに国税庁(IRS)の人員を増やして税徴収権限を強化することが含まれる。景気などへの影響は限定的と見られているものの、ビジネスや経済にとってはマイナス要因だ。このため、S&P500種指数の上値も限定的となるだろう。



FRBは7月会合で、高インフレに対処するため6月会合に続き2会合連続で0.75pt利上げに踏み切った。また、経済やインフレ動向次第で金融政策を決定していくとし、ガイダンスを明確にしなかった。消費や生産の減速を指摘し成長減速を認識しているものの、インフレの抑制を最優先とし、追加利上げが適切との考えを再表明。労働市場は減速も依然逼迫しており、追加利上げが正当化されるとみている。現在の経済も景気後退ではなく、今後も経済を深刻な景気後退に陥れずに利上げが可能と主張している。9月FOMCで0.75ptの利上げに踏み切るかどうかは、今後の景気動向次第との言及にとどめた。同時に来年も利上げを続けるとの見通しで、市場の利下げ観測払しょくに努めている。議事録では、景気やインフレ見通しがより明確化されるため注目だ。9月FOMCでは0.5ptの利上げ予想が主流だが、インフレ減速にもかかわらず数人のFRB高官は年末までに政策金利を4.0%前後までに引き上げる必要性に言及しているため、3会合連続での0.75pt利上げ予想も根強く、相場上昇を妨げる要因になりそうだ。



経済指標では、8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、8月NAHB住宅市場指数、6月対米証券投資(15日)、7月住宅着工件数・建設許可件数、7月鉱工業生産・設備稼働率(16日)、7月小売売上高、6月企業在庫(17日)、8月フィラデルフィア連銀景気指数、週次新規失業保険申請件数、7月中古住宅販売件数、7月先行指数(18日)などが予定されている。



主要企業決算では、小売関連でウォルマート、ホームセンタ—運営のホームデポ(16日)、ロウズ、ターゲット、TJX、バス&ボディワークス(17日)、化粧品メーカーのエスティローダー、廉価アパレルのロス・ストアーズ、衣料品メーカーのタぺストリー、百貨店のコールズ(18日)、靴物販売会社フットロッカー(19日)、重機メーカーのディア(19日)などが予定されている。



(Horiko Capital Management LLC)