来週の米国株は、引き続きソフトランディング期待を背景とした買い優勢の地合いとなりそうだが、22日に発表されるエヌビディア株の決算内容と株価動向に振られる公算が大きい。経済指標は、住宅関連指標のほか、5月購買担当者景気指数(PMI)、5月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録あたりとやや小粒なため、市場の関心はエヌビディア一択となっている。米政府による中国向け半導体関連の輸出規制強化という逆風のなか、どのような見通しを出すか注目だ。





ちょうど1年前の5月下旬、2023年2-4月期決算発表時の5-7月期売上高見通しを前年同期比64%増の110億ドルとしたことでエヌビディアの株価は急騰した。そして、今年2月には市場予想を上回る決算を発表したことから、東京市場でも半導体株が総じて上昇し、日経平均株価は史上最高値を更新した。多くの銘柄に影響を与えるため、世界で最も注目される企業決算と言えよう。





2024年2-4月期決算は、売上高が1年前の3.4倍の245.7億ドル、1株当たりの利益(EPS)は同5.1倍の5.57ドル前後が市場では見込まれている。エヌビディアは5月17日に反落したが、924.79ドルと終値ベースの史上最高値950.02ドル(24年3月25日)に迫っている。4月、TSMCが示した2024年の半導体市場の見通しが1月比で下方修正されたことが影響し、4月19日に終値ベースで762ドルまで下落したが、その後は、米長期金利低下や、決算への市場の期待感などを背景に史上最高値水準まで値を戻している。5月22日の決算発表時(日本時間は23日の午前5時20分、会社説明会は午前6時)は、時間外取引で乱高下するのは必至だ。そして、ナスダックだけではなく、その日の日本株や台湾株など多くの銘柄、株価指数に影響を与えることとなろう。





経済指標では、22日に4月中古住宅販売件数、週次原油在庫、5月FOMC議事録、23日に週次新規失業保険申請件数、米・5月PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、4月新築住宅販売件数、24日に4月耐久財受注(速報値)、5月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されている。





主要企業決算は、20日ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、22日にエヌビディア、スノーフレイク、ユニバーサル、23日にベスト・バイ、ダラー・ツリー、ラルフローレン、ギャップなどが予定されている。