■グロース市場指数、グロース市場250指数ともに年初来安値を更新





今週の新興市場は反落。同時期の騰落率は、日経平均が+1.46%だったのに対して、グロース市場指数は−2.58%、グロース市場250指数は−2.65%と新興市場の弱さが目立った。新興市場の決算発表も増加したことで、プライム市場同様、決算発表銘柄中心の地合いとなったが、JTOWER<4485>、トライト<9164>などグロース市場Core指数構成銘柄など主力処の決算がさえなかったことが影響して、グロース市場指数、グロース市場250指数ともに年初来安値を更新。売買代金は約一カ月ぶりに1000億円を超えたが、両指数は下向きの動きを強めた。





時価総額上位銘柄では、決算を発表したジーエヌアイグループ<2160>が週末10%超の下落となったほか、同じく決算を発表したカバー<5253>は発表直後こそ大きく買われたが、買い一巡後は売りに押された。一方、決算が材料視されてアドベンチャー<6030>は買い優勢となったほか、シーユーシー<9158>も堅調推移。このほか、アニメ番組「魔法使いの約束」のTV放送が25年1月に決定したと発表したcoly<4175>が急騰したほか、株主優待制度新設が材料視されてトラストHD<3286>も大幅高となった。一方、5月2日以降、売りが続いていたソラコム<147A>は、10日の決算発表後も下げ止まらず、週末に小幅反発するまで9日続落ときつい下げとなった。



■年初来安値圏からの反発を試したいところ





来週の新興市場は、年初来安値圏からの反発を試したいところだが、反発のきっかけが見当たらない状況だ。今週の主力処の決算発表では売りの反応が目立つなど、投資家心理の改善は見られない。





今週決算を発表したジーエヌアイグループ、カバー、トライトなどは、同時にプライムへの区分変更申請準備を行っているとも発表した。ただ、本来はプライム市場に区分変更となれば、パッシブ運用の対象となるなど需給面でポジティブな材料となりそうだが、投資家の反応は限定的にとどまっている。週末のジーエヌアイグループが買い一巡後に下げ幅を拡大し年初来安値を更新した今週末の動きを見ると、「来週は反発を試す」といったポジティブな発想は浮かびにくい。グロース市場指数、グロース市場250指数ともに4月に年初来安値を割り込み、25日移動平均線から下方乖離しており下へのバイアスが強まりそうな状況にある。ジーエヌアイグループ、トライトなどが底入れの動きを示せば投資家心理は好転しそうだが、厳しい状況か。





一方、新興市場が活性化するきっかけの一つとして、東京証券取引所が進める「企業統治強化」が挙げられる。3月22日に開催された「市場区分の見直しに関するフォローアップ」のなかで「グロース市場の上場基準に係る検討」が議論された。当会議は不定期で行われていることから、いつどのような発表が行われるか不明確だが、東証のグロース市場に対する「企業統治強化」の案は、どこかのタイミングで発表されるだろう。東証による具体案が出ないことには投資家はグロース市場に関心を示さない。つまり、今しばらく新興市場は「待ち」の状況が続くと考える。