■三和ホールディングス<5929>の業績の動向



1. 2021年3月期決算の概要

2021年3月期の同社グループを取り巻く外部環境は、国内では、コロナ禍により2020年4月に緊急事態宣言が発出されて景気が急速に悪化し、建築市場においても一部現場の中断などの影響を受けた。その後、一旦は持ち直しの動きが見られたものの、冬場の感染再拡大により緊急事態宣言が再発出されるなど、依然として先行きが不透明で、足元の景気も厳しい状況下で推移した。欧米においても、春の感染拡大による景気の急速な悪化の後、持ち直しの動きが見られたものの、秋からの感染再拡大により、特に欧州では規制の再強化により経済活動に影響が生じた。アジア、主に中国においては、年初の感染拡大時の影響は大きかったものの、諸制限の緩和に伴い経済活動は比較的堅調に推移した。



このような環境下で、同社グループは、「三和グローバルビジョン2020」第三次中期経営計画の2年目を迎え、「グローバル・メジャー」としてのトップブランドの基盤を確立するために引き続き以下の戦略の取り組みを進めた。コア事業の基本戦略として、国内では、各事業分野でのポジション確立による「動く建材企業」として、成長と事業拡大に向けた体制強化に取り組んだ。米国では、基幹事業の維持・拡大とともに、周辺事業分野への参入に注力した。欧州では、産業用製品の更なる拡大と欧州全体のデジタル化の推進を図る。成長事業の基本戦略として、日米欧のサービス分野の強化を推進し、国内では、法定検査のシェア拡大、欧米ではサービス事業の再編及びフィールドサービスシステム(点検・修理・工事・配送など現場に赴いて作業を行う業務のシステム化)の導入推進を図った。アジアでは、ドア事業の販売・生産体制の構築、物流市場物件への取り組み強化と生産性改善を行うとともに、鈴木シャッター香港を連結範囲に加え、基盤拡充を図った。同社グループでは、コロナ禍においても、社会に不可欠な事業として、感染防止対策を万全に施しながら原則稼働を維持しており、コロナ禍での需要変動に応じた取り組みも進めている。また、コロナ禍の影響で景気が悪化するなか、着実な施工の実施等による売上の確保、原価率と販売管理費の低減に努めた。



以上の結果、同社の2021年3月期決算は、売上高427,061百万円(前期比3.0%減)、営業利益33,077百万円(同3.3%減)、経常利益32,142百万円(同4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益21,251百万円(同1.8%減)と減収減益決算となった。しかし、2020年10月に発表した修正予想比では、売上高は1.7%増、営業利益も10.3%増と、計画を大きく超過して着地した。利益では過去最高だった前期実績にあと一歩の水準まで回復しており、厳しい経済環境の中、非常に健闘した決算であったと評価できよう。





三和シヤッター工業と国内子会社は比較的堅調でグループ業績を下支え、米国・欧州事業はコロナ禍の影響を大きく受けた

2. セクター別の動向

(1) 三和シヤッター工業

グループの基幹事業を担う三和シヤッター工業の2021年3月期業績は、売上高1,994億円(前期比5.2%減)、営業利益205.7億円(同2.8%減)と、減収減益となった。営業利益の増減要因を見ると、コロナ禍による大幅な販売数量減の影響を、販売価格の引き上げや製造・物流などのコスト削減で補い、小幅な減益にとどめた。この結果、営業利益率は前期の10.1%から10.3%に上昇し、同社のセクター中で、最も高い利益率を維持している。



(2) 国内子会社

三和シヤッター工業以外の国内子会社の業績は、売上高518億円(前期比1.1%増)、営業利益27.3億円(同5.6%増)と、小幅な増収増益となった。営業利益の増減要因を見ると、販売数量減をコスト削減、販売価格の引き上げ、鈴木シャッターの新規連結効果などが上回った。この結果、営業利益率も前期の5.0%から5.3%に上昇した。



(3) ODC

米国事業を担うODCの業績は、売上高1,172億円(前期比1.0%減)、営業利益77.3億円(同14.4%減)と、大幅な減益であった。好調な住宅市場により数量効果はプラスとなったが、量販店向け拡販により採算性が低下したことが響いた。営業利益の増減要因を見ると、原材料価格の低下があったものの、販売価格の低下やコスト上昇が上回った。以上から、営業利益率は、前期の7.6%から6.6%に低下している。



(4) NF

欧州事業を担うNFの業績は、売上高722億円(前期比3.7%減)、営業利益30.9億円(同16.3%減)と、大幅な減益となった。コロナ禍の影響による数量減が大きく響き、コスト削減の効果も及ばなかった。以上から、営業利益率は、前期の4.9%から4.3%へと低下した。



(5) アジア

2020年3月期より連結対象となったアジアでは、中国、香港、台湾、ベトナムの在外子会社でシャッター・ドアなどの製造・販売を行っている。同地域の売上高は66億円(前期比2.8%増)であったが、営業損失5.4億円(前期は3.5億円の損失)となった。鈴木シャッター香港の新規連結効果があったものの、既存会社でのコスト増が影響したためである。



3. 財務状況と経営指標

2021年3月期末の総資産は、主に現金及び預金の増加などにより、前期末比21,136百万円増加の375,159百万円となった。負債は、主に借入金増加などに伴い、同5,382百万円増の193,771百万円となった。また、純資産は、主に利益剰余金の増加などにより、同15,753百万円増の181,387百万円となった。



以上の結果、自己資本比率は前期末比1.6ポイント上昇の47.9%となった。東証1部 2019年度決算短信集計の全産業平均30.9%を大きく上回り、十分な安全性を確保している。また、同社のROA(総資産経常利益率)は8.8%、ROE(自己資本当期純利益率)は12.4%で、いずれも全産業平均の3.5%、6.6%を大きく上回り、高い収益力も兼ね備えていると評価できる。



2021年3月期のキャッシュ・フローの概況を見ると、2021年3月期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ33,177百万円増の87,795百万円となった。



営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益が増加したことにより50,144百万円の資金増加(前期は32,301百万円の資金増加)となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により11,177百万円の資金減少(前期は16,622百万円の資金減少)であった。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払により6,102百万円の資金減少(前期は10,466百万円の資金減少)となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)