■インタースペース<2122>の業績動向



2. 事業セグメント別の動向

(1) インターネット広告事業

インターネット広告事業の売上高(社内取引高含む)は4,563百万円、取扱高ベースで前期比9.6%増の23,512百万円、事業利益※は同40.3%増の1,324百万円と3期振りの増収増益に転じた。2020年以降、アフィリエイト広告の表現に関する規制強化の動きや、コロナ禍の影響等により取扱高の減少トレンドが続いていたが、回復に転じた。利益面では、採算性を重視した営業活動のほか、販売ミックスの改善、生産性向上などにより、事業利益率(対取扱高)は前期の4.4%から5.6%に上昇した。



※社内共通費用配賦前の利益で、決算短信の事業セグメント利益とは異なる。





国内アフィリエイト広告の取扱高は、前期比9.4%増の22,918百万円と3期振りの増加に転じた。カテゴリー別動向を見ると、コロナ禍で低迷していたサービス分野(人材派遣・エステ)の需要が回復したほか、採算の良い海外グローバル企業の案件がエンタメ系やデリバリー関連を中心に好調に推移した。一方、EC分野で健康食品等の需要低迷により減少傾向が続いたほか、金融・保険分野でネット証券会社の口座開設案件の減少が響いて伸び悩んだ。



ストアフロントアフィリエイトの取扱高は前期比19.2%増の3,015百万円と2ケタ成長が続いた。携帯電話販売代理店向けの継続課金型商材であるセキュリティ商品の契約件数が順調に積み上がり、継続課金サービスの取扱高が同37.0%増の2,802百万円となり、一時課金サービスの減少をカバーした。四半期別の売上高の推移を見ても継続課金サービスは右肩上がりに増加しており、第4四半期は前年同期比29.7%増の760百万円、全取扱高に占める比率も94.6%と大半を占める格好となっている。なお、(株)NTTドコモが「ドコモショップ」を2025年までに3割程度削減する方針を明らかにしたことで、同事業への影響が懸念されたものの、現時点ではその影響は出ていないようだ。同社は全国の「ドコモショップ」のうち、約3割の店舗にサービスを提供しているものの、削減対象と想定される小規模店舗には提供していないためだ。とは言え、来店客数が減少傾向であることは事実で、成長に向けて新たな商材の開発や販路開拓が課題となる。



また、海外事業の取扱高(ベトナム関連会社含む)は、前期比64.2%増の3,321百万円と大きく伸長し、四半期ベースでも右肩上がりの成長が続いている。東南アジアは、ナノ・マイクロインフルエンサーの獲得に注力した結果、パートナー数は前期末の109万件から140万件超に増加し、取扱高の拡大につながった。取扱高の6〜7割を占めるベトナム関連会社が好調で、同事業の成長をけん引した。ECや金融分野を中心に取扱商材が増加しており、業界トップシェア(推定)、従業員は200名超に拡大した。一方、子会社については、インドネシアが黒字化したものの、マレーシア、シンガポールについては立ち上がりが遅延しており、4社合計では営業損失(前期比では損失縮小)となっている。ただし、ベトナムの持分法による投資利益を含めた海外事業全体では黒字化した。



(2) メディア運営事業

メディア運営事業の売上高(社内取引高含む)は前期比10.8%増の2,562百万円、事業利益※は同78.8%増の582百万円となった。コンテンツ型メディアの広告収益増加が寄与し、2期連続で過去最高を更新した。主力の「ママスタ」では、連載漫画等を用いるなどコンテンツの充実に取り組んだことでPV数が順調に伸びた。また「saita」では、「ママスタ」の成功モデル(記事配信ノウハウ等)を活用したことで、PV数が前期比3倍増の2,500万PV/月と急増した。



※社内共通費用配賦前の利益で、決算短信の事業セグメント利益とは異なる。





売上高の内訳を見ると、「ママスタ」を中心としたコンテンツ型メディアは前期比19.5%増の1,538百万円となった。一方、比較・検討型メディアは第3四半期まで前年同期比で減収が続いていたが、「派遣サーチ」や「転職Finder」などの人材サービス系の回復が寄与し、第4四半期は前年同期比13.8%増の281百万円と4四半期ぶりに増収に転じた。通期でも前期比横ばいの1,025百万円となるなど、回復の兆しが見えている。「塾シル」については、掲載教室数が約7,900教室と子会社化時点の約5,000教室から着実に拡大しているものの、送客件数が伸び悩み、売上高は微増にとどまった。事業利益の内訳は、既存メディアが「ママスタ」を中心としたコンテンツ型メディアの伸長により同43.1%増の767百万円、新規事業への投資費用は同25百万円減の185百万円となった。新規メディアの開発については一段落しており、当面は既存メディアの収益化に注力する方針である。



運営メディアの四半期別UU数の動向を見ると、各四半期ともに前年同期比で10%前後のペースで伸長するなど着実に増加している。「ママスタ」のUU数については、第4四半期に前年同期比5.1%減となったが、2022年10月のPV数は過去最高を更新しており、一時的な要因と見ている。期中平均のUU数については「ママスタ」が前期比9.3%増、その他メディアが同12.8%増となっており、「ママスタ」をはじめ、その他メディアも順調に成長していることが窺える。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)