絵本「にじいろのしまうま」(こやま峰子作、やなせたかし絵)の主人公は体が七色に輝く。鮮やかな彩りがページにあふれ、子どもたちを楽しませる▼シマウマが病気になると、サルやゾウらが付きっきりで看病する。森が日照りになると、今度はシマウマが仲間のために空に祈る。虹色の体から水色が離れ、川になる。体の緑色は野原や森を染める。最後の色が消えてしまうと―。思いやり、支え合う大切さを教えてくれる▼白と黒は、勝ち負けなど表裏の表現に用いられがちだが…。シマウマの英訳を冠したゼブラ企業は「収益」と「社会課題の解決」の両立を目指す。国は来月から支援に乗り出す。県内でも奮闘している。須賀川市発のベンチャーは消防団向けのアプリを開発し、運用を担う。火災発生を団員に瞬時に伝え、現場付近にある消火栓の場所を示す。団員不足に悩む自治体は少なくない。効率的に活動できると評価され、県内外の20市町村ほどが導入した▼先の絵本では、森の暮らしを救ったシマウマに動物たちが七色の花の首飾りを贈り、感謝の気持ちを表す。二色のゼブラへのご褒美は住民の笑顔がふさわしい。うれしさで顔がぽっと赤らむかも。<2024・5・18>