農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に認定されている福島県二本松市二伊滝の西谷棚田で19日、有志らによる田植えが行われた。貴重な棚田を継承し、美しい日本の田園風景を守ろうと西谷棚田保全会と西谷集落が「田植え祭り」として主催し、大七酒造が協力した。


 西谷棚田は二本松城(霞ケ城)の西側に位置する斜面に約3ヘクタール、約60筆の大小の田んぼが広がり、のどかな景観が訪れる人を癒やしている。地元農家らが保全に努めているが、休耕田も増えてきたことから昨年、大七酒造の呼びかけで再利用の取り組みが始まった。2年目の今年は約5アールでコシヒカリと山田錦を作付けする計画だ。

 当日は西谷棚田保全会と西谷集落の渡辺久司会長、大七酒造の太田英晴社長、左恵子さん夫妻ら一家と地元農家、市内の有志ら約50人が集まった。かさと長靴姿で田んぼに入り、渡辺会長の指導で一束一束、丁寧にコシヒカリの苗を植えた。

 大七酒造で研修中のフランスの大学生レナ・フェロンディス・ビダルさん(18)は「泥の中に入っての田植えは初めての体験」と笑顔を見せた。渡辺会長は「農家だけで棚田を守っていくのは難しい。多くの人たちと一緒に取り組んでいきたい」と語った。

 今後は随時、草取りなどをして稲を育て、秋には収穫祭を催す。

(官野力雄・ふるさと記者)