福島県石川町の発注道路工事の指名競争入札を巡る官製談合容疑事件で、県警本部捜査2課と石川署などは町認定こども園用地造成工事の指名競争入札でも事前に予定価格を地元業者に漏らしていた疑いが強まったとして、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで前石川町長の塩田金次郎容疑者(76)=石川町形見字道橋=を勾留満期の21日に再逮捕する方針を固めた。20日、捜査関係者への取材で分かった。町長による官製談合事件は町道改良工事から大型公共工事へと舞台を移し、県警は贈収賄容疑での立件を視野に全容解明を進める方針だ。

 2022(令和4)年9月の道路工事入札で当時町長だった塩田容疑者から不正に入札情報を入手したとして公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された、石川町内の土木会社「志賀建設」の元社員で無職関根徳夫容疑者(69)=同町境ノ内=、元役員でコンサルタント業添田保雄容疑者(63)=平田村中倉字見上=も21日に同容疑で再逮捕する。

 県警は、認定こども園用地造成工事の入札でも町長として適正に執行する義務があった塩田容疑者が秘密事項である予定価格を志賀建設の社員だった関根容疑者、取締役だった添田容疑者に教え、同社に落札させた疑いが強まったとして3人の再逮捕に踏み切る。塩田容疑者が予定価格を漏らした目的や経緯をはじめ、金品の授受などの見返りがなかったかを詳しく調べる。

 町がホームページで公開している公共工事入札記録によると、町認定こども園用地造成工事の入札は2023年2月27日に執行された。5千万円以上の大規模土木工事を受注可能な最上位の「Aランク」に位置付けられた5社が応札した。予定価格1億7594万8千円に対し、志賀建設が最も低額の1億7380万円で落札した。落札率は98・8%だった。

 町によると、4月30日の逮捕容疑とされる2022年9月執行の町道116号線道路改良工事の入札では、志賀建設を含め3社が応札し、同社が最も低額の1245万円(落札率98・6%)で受注した。捜査関係者の話では、予定価格などを社外の複数人で共有した上で応札業者の入札価格を決め、受注業者が確実に落札できるよう事前に調整していた疑いがある。

 塩田容疑者は17日付で町長を辞職した。