福島県石川町発注の道路工事入札を巡る官製談合容疑事件で、県警本部捜査2課などは21日、町発注の認定こども園用地造成工事入札でも事前に予定価格と同額の設計金額を漏らしたとして、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで前石川町長の塩田金次郎容疑者(76)=石川町形見字道橋=を再逮捕した。公契約関係競売入札妨害の疑いで、町内の土木会社「志賀建設」の元社員と元役員も再逮捕した。

 塩田容疑者の逮捕容疑は、認定こども園用地造成工事の指名競争入札で町長として適正に執行する義務があるのに、秘密事項である応札業者の名前などの情報や予定価格と同額の設計金額を、元社員と元役員の両容疑者に教え、志賀建設に落札させた疑い。元社員と元役員の両容疑者は塩田容疑者から不正に情報を入手し公正な入札を妨害した疑い。

 県警は捜査に支障があるとして3人の認否を明らかにしていない。

 官製談合事件の舞台は町道改良工事から大型公共工事へと移った。県警や地検は塩田容疑者が入札情報を漏らした目的や経緯をはじめ、金品の授受などの見返りがなかったかなどを詳しく調べる。

 町がホームページで公開している公共工事入札記録によると、認定こども園用地造成工事の入札は2023年2月27日に執行された。5千万円以上の大規模土木工事を受注可能な最上位の「Aランク」に位置づけられた5社が応札した。予定価格1億7594万8千円に対し、志賀建設が最も低額の1億7380万円で落札した。落札率は98・8%だった。

 県警は4月30日、町内の道路改良工事で予定価格を漏らしたとして官製談合防止法違反容疑などで塩田容疑者ら3人を逮捕。地検郡山支部は5月21日、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪で塩田容疑者を、公契約関係競売入札妨害の罪で関根、添田両容疑者を起訴した。

 塩田容疑者は5月17日付で町長を辞職した。