あれが、勿来の灯(6月20日)
福島民報6/20(金)9:04
歴史的名言とされるチャールズ・リンドバーグの「翼よ、あれがパリの灯だ」。ニューヨークからパリへ。単独で無着陸の大西洋横断飛行に成功した。花の都の美しい街並みに感激して発したというが、そうした史実は確認されていない▼本人はさておき、愛機のスピリット・オブ・セントルイス号には輝く凱旋門[がいせんもん]やエッフェル塔の記憶が刻み込まれている。そう考えるのは、情緒的過ぎるだろうか。背の高い都市のランドマークは住民の心のよりどころ。来訪者の胸には長くとどまる。立ち寄った当時の自らの境遇とともに、見上げた姿がよみがえる▼いわき市の常磐共同火力勿来発電所の構内には、高さ200メートルほどの集合煙突がそびえる。地元のあらゆる場所から確認できる、まさに古里のランドマークだ。「交通安全」や「火の用心」など月ごとにテーマを決めて、夜間のライトアップを続けている。7月からは住民から募ったメッセージを基に、それぞれ1日限定で点灯する色を決める▼家族の誕生祝い、伴侶への感謝、定年を迎えた恩師へのねぎらい、亡き人の供養…。30件を超える申し込みが寄せられた。「見よ、あれが勿来の灯、私の思いだ」。<2025・6・20>




