いわき信組、不正融資は247億円 経営陣主導20年超 第三者委調査
みんゆうNET5/31(土)7:45

いわき信組、不正融資は247億円 経営陣主導20年超 第三者委調査
いわき信用組合(いわき市)が預金者名義の口座を無断で開設して架空融資を行っていたとされる問題で、不正を調べていた第三者委員会は30日、預金者に無断で口座を作るなどした不正融資は1293件、総額247億円に上るとする調査結果を公表した。2004年3月から24年11月までの約20年間、経営陣が主導し組織ぐるみで続けられたと認定した。
使途不明8億〜10億円
第三者委によると、247億円の内訳は、ペーパーカンパニーを利用した大口融資先への迂回(うかい)融資が54件18億円、預金者に無断で口座を偽造し架空融資を行う「無断借名融資」が1239件229億円。
不正融資の多くは返済金や利息として信組に還流させたが、21億〜23億円は外部に流出。横領の補てんなどに充てられたが、うち8億〜10億円の使途は分かっていないという。
02年につばさ信用組合と合併後、監査が厳しくなり、大口融資先への貸出金を減らす必要に迫られたことから、04年にペーパーカンパニーを利用した不正融資により大口融資先に資金を提供する不正を始めた。さらに07年から口座偽造による架空融資を始めたという。
東日本大震災後の12年に200億円の公的資金注入を受け、経営状況が改善したのをきっかけに、これらの不正融資を損失として処理し、事実上帳消しにする作業を始めたが、不正融資の返済に充てるための不正融資は24年11月まで続いたという。
第三者委は不正が組織ぐるみで続いた要因として、法令順守意識の根本的な欠如や、内部チェックの機能不全を指摘。人事権を持つ江尻次郎元会長ら一部の幹部に逆らえず「常軌を逸した上意下達の組織風土」があったとした。
調査の過程で他の大口融資先に対する迂回融資など新たな不正の可能性も発覚した。第三者委の調査の過程では、信組側で隠蔽(いんぺい)工作と疑われる行為が多数行われたという。
第三者委は30日、いわき市で記者会見し、調査結果を公表した。信組の本多洋八理事長も記者会見し、自身を含む現執行部7人の退任を公表。「第三者委の調査結果を踏まえさらなる事実関係の精査を行い、経営陣の責任を明確にして刑事、民事両面で適切に対処する」と述べた。
東北財務局は29日、不正融資を長期間隠蔽したなどとして、信組に対し銀行法に基づく業務改善命令を出した。
【解説】信頼回復への道見えず
いわき信用組合が設置した第三者委員会の報告書は、口座偽造などによって不正融資を実行した総額が247億円に上るという驚愕(きょうがく)の内容だった。なぜ組織的な不正が20年にわたって繰り返されたのか。第三者委が要因として挙げたのは江尻次郎元会長という絶対的な存在と、パワーハラスメントに基づく上意下達という常軌を逸した組織風土だ。
「理事長(江尻元会長)には逆らえない」「上司からやれと言われれば不正と分かっていても断れない」。組織的な不正を続けた職員の態度を、第三者委は「不健全な真面目さ」と呼んだ。
第三者委が実際の不正融資とともに問題視したのは、調査に対する信組側の隠蔽(いんぺい)行為だ。報告書には、不正融資のリストを作成したパソコンを職員がハンマーで破壊して処分するなど、信じ難い行為の数々が記載されている。
「全容解明には程遠い」。第三者委は未解明の問題を信組自らが調査し、うみを出し切ることを求めている。隠蔽体質が根付いた特異な組織風土から脱却し、自浄能力を発揮することは果たして可能なのか。本多洋八理事長は「役員の刷新で再生の一歩は踏み出せると思っている」と述べたが、信頼回復への道は見えない。




