酒類総合研究所(広島県)は22日、2023酒造年度(23年7月〜24年6月)の日本酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会の審査結果を発表した。本県は18銘柄が金賞を獲得、都道府県別の金賞受賞銘柄数では2番目に多かった。
 県内の酒蔵を長年にわたり指導する県酒造組合特別顧問の鈴木賢二さん(62)=磐梯町=は「前回に比べて自信はあったので、躍進した結果には満足している」と胸をなで下ろす。一方で、「今回はコメの硬さにうまく対応できた。だからこそ結果も伴ってほしかった」と逃した日本一に悔しさをにじませた。
 猛暑で出穂期の気温が高かったことが影響し、前回に引き続き硬いコメを使っての酒造りとなった。酒類総合研究所の分析によると、県内の多くの酒蔵が使用した兵庫県産の酒造好適米「山田錦」は「平年並みから平年より溶けにくい」と予測されていた。
 ただ、前回よりさらに硬いコメを覚悟して準備してきたため「想定よりはコメが溶け、臨機応変に対応できた」と鈴木さん。製造過程で水を加えるなどし、ふくよかな味と香りを醸し出すことに成功したという。
 鈴木さんは日本一となった兵庫県と本県を比較し「本県は小さな蔵が多い。その中で数多く入賞したことは、蔵の技術が底上げされている証拠」と話し、「昨年新たに開発された酵母の性質について情報収集するなどして、心機一転取り組んでいく」と前を向いた。