近ごろのメガネ店では、当たり前のように「ブルーライトカット」の商品がずらりと並んでいるが、日本眼科医会など6学会は4月14日に「ブルーライトカット眼鏡」を子どもに使わせることを危惧する意見書を公開した。
 

そもそも、ブルーライトとは、太陽光や電球など目に見える光に含まれる青色成分のことで、スマホやパソコンの画面からも出ているという。
この光を「ブルーライトカット眼鏡」で抑えると、スマホなどの使用による睡眠障害や、眼精疲労の軽減、眼球への障害予防などの効果があると謳われているが、意見書は科学的観点から問題点を指摘している。
 

まず、スマホなどの画面が発するブルーライトは、曇り空やガラス越しの自然光よりも少ないため、いたずらに恐れる必要はないという。
逆に、子どもにとって太陽光は心身の発育に好影響を与えるもので、十分に浴びない場合は、近視のリスクが高まるとしている。
さらにアメリカの科学誌に掲載された最新の研究では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されているそうだ。
 

ただ、ブルーライトと体内時計の関係があることは、いくつもの論文で指摘されており、夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びると、睡眠障害をきたす恐れがあるという。
しかし、就寝前ならともかく日中にブルーライトカット眼鏡を使うメリットはないとしている。

これらの理由から意見書では、子どもにブルーライトカット眼鏡を推奨する根拠はなく、むしろかけさせることは発育に悪影響を与えかねないとまとめている。

なぜこのタイミングで意見書を出したのか?そして、言及はなかったが大人への悪影響はないのか?
日本眼科医会の担当者に聞いてみた

小中学校“デジタル授業”の本格化が背景

――なぜ意見書を公開した?

政府のGIGAスクール構想により2021年4月から、多くの小中学校でデジタル端末を用いた授業が本格化したことを踏まえ、文部科学省も子どもたちの目の健康に留意した文書やリーフレットを3月、4月と立て続けに発出しており、我々もまた健やかな目の成長を願う立場から公開しました。

また、3月に米国眼科アカデミーからもブルーライトカットについての意見が出ました。
偏りのない情報を皆さんにお伝えすることで、子どもたちの健やかな成長に役立てていただくための情報提供として発出しました。

(編集部注:米国眼科アカデミーは3月5日付で公式サイトに「米国眼科アカデミーはブルーライトカット眼鏡を推奨しません。」と掲載)
 

端末利用に当たっての児童生徒の健康への配慮等に関する啓発リーフレット  出典:文部科学省

――今までブルーライトカット眼鏡を使ってきた子供もやめたほうがいい?

現在お持ちのものを使用することが明らかな害になるという証明はされていませんので、お持ちのものをご使用いただくことは大きな問題にならないと思います。
一方で、ブルーライトカット眼鏡を使用すれば、子どもが長時間にわたってデジタル端末を見ても良いことにはなりません。 
 

——子どもがブルーライトカット眼鏡を就寝前に使うのもよくないのでしょうか?

今回の発出文書にもありますが、夜間のブルーライトカットは特に悪いことではないと思います。
また、ブルーライトカットの有無にかかわらず、先の文部科学省のリーフレットにもあるように、就寝1時間前からはデジタル端末を使用することは、控えるべきと考えています。
 

大人は見え方が向上することもあり、すべてにおいて不要ではない

――ブルーライトカット眼鏡は大人への悪影響はない?

中年以降では、見え方が向上することもありすべてにおいて不要というわけではありません。
眩しさに関しては、デジタル端末の場合、画面の明るさ調整も効果的と考えます。
ブルーライトカットの有無よりも、度数や利用する用途に合った本人に最適な眼鏡の使用をおすすめします。  
 

――パソコンやスマホを長時間見て目が疲れる人はどうしたらいい?

適切な度数の眼鏡を使用する、 画面を離してみる、 休憩を取る、 遠方を見る、 画面は低輝度にする、といった対応がお薦めです。  
 

今回、意見書が指摘しているのは成長期の子どもについてで、ブルーライトカット眼鏡が明らかな害になるわけではないとしながらも、学校の授業のデジタル化が本格化する中で、正しい知識を持って使用してほしいということだった。