あえて“華美な装飾”はそのまま 浅草の「元ラブホ」が外国人観光客に人気上昇中

あえて“華美な装飾”はそのまま 浅草の「元ラブホ」が外国人観光客に人気上昇中

「和風」と「安値」が決め手

「インターネットで調べて、和風のTraditional Roomが気に入った。そしてとても安かったからここにした」

この日、観光のためにオーストラリアから浅草に到着した5人家族。宿の決め手となったのは「和風」と「安値」。どの宿と比較してもとにかくここが一番だったそうだ。

迷うことなくこの宿に決めたオーストラリア人一家

ドミトリーの利用で1泊2400円からと格安のこの宿は、築32年の元ラブホテル。

エントランスで部屋を選ぶパネル、豪華なシャンデリア、そして“時代”を感じさせる個性的な部屋のしつらえなどはほぼそのまま。いまから6年前、国内の大手ホステル会社が当時閉業していたこのホテルを借り上げて、リノベーションし、開業した。

エントランスの客室パネル

ラブホテル時代のままのシャンデリア

インスタ映えで外国人旅行客が増加

元ラブホをインバウンド狙いの宿泊施設として選んだ理由は「もともと泊まることを楽しむために作られた施設」だから。会社の創業者は「外国人に日本を楽しんでもらいたい」ホステルの構想を練っていただけに、まさに目的とぴったりだった。 

そのため、あやしく緑に光るベッドの部屋はそのまま(この日、この部屋の予約はすでにはいっていた)。さすがにベッドルームからスケスケのお風呂は、その窓ガラス部分はふさいだものの、純和風の派手な装飾も、もちろんそのまま。いろりも当時使用されていたもの。

Traditional Room

部屋の片隅にある当時のままのいろり

鏡ばりの階段があるロフトは、浴室を改装するなどして、マンガ部屋やキッズルームに。

鏡張りの階段

客室の一部をキッズルームに

リフォームでは、こうしたラブホテル文化の「面白い」象徴は極力残した。

それがいま、「珍しい」と外国人観光客に受けている。

宿泊施設の需給バランスは一服

「インスタ映え」効果もあり、宿泊客のおよそ8割が外国人。いまでは冒頭のオーストラリア人一家のように、狙い通りに客の心をつかんでいる。

しかし、インバウンド増加で客数が急増しているのかと思いきや「客数の増加よりも、ホテル数の増加の勢いのほうがある」と、全国規模で宿泊施設が増加していることや民泊が増えていることに脅威を感じているのも事実だ。

多目的ルームにはたえず外国人観光客の姿が

みずほ総合研究所の「ホテル市場」調査(2018年)では、ホテルの新規開業計画の増加により、訪日外国人などの宿泊需要が予測通り、または上振れしても、東京五輪が開催される2020年に、客室数が不足することはない、との結果がでた。これはホテルの新規開業計画が増加したことによる。

さらに、観光庁によると、外国人観光客のおよそ1割が民泊を利用している。これも宿泊施設の需給バランスを整える要因のひとつだ。

ホテル戦国時代を「ラブホ」という個性で勝ち抜く戦略はいまのところ功を奏しているように見えるが、運営会社の実感に基づく懸念は外れていない。今後、ホテル戦国時代を勝ち抜くためには、さらなる「工夫」が求められている。これはこのホステルに限らず、全国の宿泊施設にいえることだろう。

(執筆:フジテレビ プライムオンラインデスク 森下知哉)


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