道路脇でよく見る格子状の金属。
側溝に人が落ちることを防ぐ「グレーチング」と呼ばれるふただ。

この「グレーチング」の盗難被害が相次ぐ中、金属の買い取り業者を独自取材すると、犯人像が少しずつ見えてきた。

埼玉・上尾市の公園を訪れると、側溝に頭を突っ込んで中をのぞく幼い子どもに「危ない!」と心配する母親。

公園内にある側溝のふた、グレーチングが大量に盗まれていることが目撃された。

母親「気をつけてねーって言ってます。落ちて頭とか打って、ぱっくり切れちゃうとかは怖いです」

遊んでいた子ども「(別の子どもが)こっちに入っていたら泣いていたの。(落ちちゃった?)そう」

上尾市ではグレーチング泥棒が相次ぎ、この公園では211枚が盗まれる被害が出ている。

いったい、グレーチング泥棒は何者なのか。

グレーチングを取り扱う金属買い取り業者への独自取材で浮かび上がった犯人像は、意外なものだった。

29日、上尾市内の公園でふた166枚が盗まれると、30日、今度は約7km離れた市内の別の公園で、ふた211枚がひと晩にして盗み出されたのだ。

盗難されたとみられるグレーチングの1枚当たりの重さは6.7kgで、手で持ってみるとかなり重さがある。
盗まれたグレーチング、あわせて377枚の総重量は2トンにも及ぶ。

複数犯による犯行が疑われるが、被害に遭ったとみられる時間の公園付近の防犯カメラは、ずっと真っ暗なまま。

解決の手掛かりとなるようなものは目撃されていなかった。

近隣住民「街灯は夜中消えるみたい。だから真っ暗になるんです。だから何やってもわかんないと思う」

さらに夜の公園で目撃者を捜すが、光は奥の自動販売機しかなく、足元の危険を示すパイロンはかなり暗く、見えづらくなっていた。

犯行があったとみられる時間帯に公園を訪れる人は全くいなかった。

グレーチング泥棒は、見つかりにくい場所と時間を選んで犯行に及んだのか。

そこで、グレーチングなども取り扱う埼玉県内の金属の買い取り業者に話を聞いた。

岩槻スクラップセンター・岡本和則さん「バール1本あれば、もう大人1人だったら普通に持ち上げられる」

大掛かりに見える連続グレーチング泥棒だが、買い取り業者によると、コツさえつかんでいれば簡単に持ち運べるという。

さらに...。

岩槻スクラップセンター・岡本さん「今だと(買い取り額が)倍ぐらいになってるみたいですね。盗んだりする人もいるのかなって」

鉄の買い取り価格は、関東地方では4年間で2倍以上になっていて、盗まれた可能性がある金属が買い取り業者へ持ち込まれることも増えているという。

取材した業者は、出どころがはっきりしない金属類は一切買い取らないというが、警察は、盗まれたグレーチングが金属の買い取り業者に持ち込まれる可能性が高いとみて捜査している。