LINEやフェイスブックなどのSNSを通じて、やり取りをしながら投資を勧め、最終的に投資名目で金銭などをだまし取る「SNS型投資詐欺」の被害が全国的に急増している。これまでの特殊詐欺とは異なる特徴や手口があるという。

被害者の年齢層は 男性が50〜60代、女性が40〜50代が多い

警察庁によると、2023年のSNS型投資詐欺の認知件数は全国で2271件、被害額は約278億円に上る。
1件あたりの平均被害額は1000万円を超えていて、被害者の年齢層は、男性が50代から60代、女性が40代から50代が多いという。
大分県内でも、SNS型投資詐欺について、2024年3月末時点で被害届を受理した件数は6件、被害額は約1億3000万円に上る。
また、暫定値で4月以降さらに11件、およそ8900万円の詐欺被害が出ている。

中には、借金をしてしまった人や退職金をつぎ込んでしまったケースも…

高額な被害が相次いでいるが、要因について、大分県警生活安全部生活安全企画課安全・安心まちづくり推進室神田英樹室長は「県警としても極めて憂慮すべき状況。若い世代だけではなく高齢の人でも、気軽にSNSを利用しているような社会になっている。そういった点も、SNS型投資・ロマンス詐欺が広がってきた要因ではないか」と話す。

2024年、日出町で60代の男性が約1700万円をだまし取られる被害にあった。
警察によると、男性はSNS上の広告をきっかけに、著名人をかたる人物が作ったSNS上の投資グループに参加。
そこで株の取引に関するやり取りをするようになったという。
男性は「『必勝株』の取引情報を発表する」などと連絡を受け、指定された口座に金を振り込みだまし取られた。

時間をかけて信頼関係を築く 巧妙な手口

こうしたSNS型の詐欺には、今までの特殊詐欺とは異なる特徴が。
それは、犯人側が犯行にかける時間を長く取るということ。やり取りを重ねて、被害者と十分な信頼関係を築いた上で犯行に及んでいる点である。

これまでの特殊詐欺では「携帯料金の未払があるので今日中に振り込んで」や「還付金があるので早く手続きをして」などと、短期的な犯行が特徴だった。

先ほどの被害にあった日出町の男性が、投資グループでやり取りをし始めたのが2月頃。実際に金を振り込んだのが3月中旬から4月下旬と、やはり犯行にかなり時間をかけている。こうした点も騙されてしまう一つの要因と考えられている。

「人が人を信用する時には、やはりテレビに出ている人や本を出版している人などは、直接話をしなくてもその人を信じてしまうところが、人間の心理としてあるのではないか。著名人や投資家を名乗ったネット広告、こうしたものが詐欺の入り口になっている。なのでまずこうしたネット広告を見る際には、必ず注意をしてほしい」と、県警生活安全部生活安全企画課安全・安心まちづくり推進室 神田英樹室長は話している。

個人名義の口座への振り込み要求は注意を

こうした詐欺に引っかからないためのポイントとして、大分県警は何よりもSNSで知り合った人からの投資の話、儲け話は詐欺を疑い、家族や友人、警察などに相談をしてほしいと話しています。
また、勧められた投資先などについて、インターネットなどで検索して、実在しているものなのか確かめてみる。
さらに、金銭を個人名義の口座へ振り込むように求められた場合は要注意。株やFXなどの取引で個人名義の口座が使用されることは基本的にはないということで、くれぐれもご注意を。

(テレビ大分)