岸田首相は16日、顧客等からの著しい迷惑行為=カスタマーハラスメントいわゆるカスハラへの対策を議論した自民党のチームから、企業に従業員を守るための措置を義務づけるなどの対策提言を受け取り、「非常に重く受け止める。前向きに政府の対策にしっかり生かしていきたい」と語った。

自民党の提言では、カスハラの定義について明確化し、労働者、企業、消費者などが「やってはいけない行為だ」ということを共有することが必要だと指摘した。

さらに、カスハラにより労働者が不安を感じたり、通院や入院に至る深刻な例もみられることに言及し、「企業として現場任せではなく、労働者からの相談に応じ、適切に対応するため必要な体制整備など、雇用管理上の必要な措置を講じることを事業者に義務づけるといった法整備なども念頭に労働者保護対策を強化することが必要だ」と指摘した。一方で、消費者の権利抑制にならないよう留意することも付言している。

また、厚労省で進めている対策マニュアルに基づいた取り組みを加速させると共に、カスハラの事前防止のため、従業員の顧客対応研修の強化などが必要だとし、業界団体などを通じた取り組みへの政府の支援強化が必要だと訴えている

消費者の側については、「国民が消費者の権利と責任について正しく理解し、責任ある消費者としての行動をとれるようにするために、消費者教育の強化が必要だ」と指摘した。

政府はこの提言を踏まえ、カスハラ対策の整備・強化を検討するとみられる。