2024年5月16日時点で、買取価格が史上最高値を更新した「金」。その価値は30年で10倍ほどになっている。「今が売り時」と客が殺到する長崎県内の「金」買取店を取材した。

ちぎれていても変形していても「金」

長崎県西彼・長与町の「金」買取店だ。

買取専門店「諭吉」査定士 藤本智史さん:
変形して使いにくい指輪とか石が取れた指輪、海外の金貨やちぎれたネックレスも買い取れる

金の買取価格が史上最高値を更新した3月ごろから査定の依頼が急増している。多い日で20組ほどが来店し、持ち込むものも様々だ。

買取専門店「諭吉」査定士 藤本智史さん:
「インゴット」と呼ばれる金の延べ棒500グラム。約600万円分を持ってきた客もいた。20年〜30年前と比べると金の価格が1グラムあたりで8倍から9倍に上昇している。20〜30年前というと「バブル」の頃で皆さんが買っていた「金」が今、高くなっている

「有事の金」と言われるほど世界情勢が不安定になると価格が上がるのが「金」だ。手元の貨幣の価値が下がる懸念から、万国共通の現物資産である「金」に替える動きが活発になる。

新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻などもあり、買取価格は5年で2倍以上に、30年前と比べると約10倍になっている。この日もネックレスなど約10点の査定の依頼が入った。

男性が持ち込んだ金プラチナ製品は、18金のネックレスと指輪で、2点合わせてその額は3万7000円。思わぬ高額査定に持ち込んだ男性も満足げだった。

買取客(20代):
グラム数で軽かったのでもっと低いかなと思ったが高くてびっくりした

――お金の使い道は。                                 貯金ですかね

記者もビックリの査定額

取材した記者も母親がタンスに眠らせていたアクセサリーの査定依頼をした。

ネックレスのチェーンは10年ほど前に通販で1万円で購入、トップの金貨は35年ほど前に結婚祝いでもらったものだ。その査定額は?!

買取専門店「諭吉」査定士 藤本智史さん:
こちらで14万2030円。この金貨の部分だけで9万5000円ほどになる。残りの部分、枠とネックレスのチェーンが5万円ほどになる

KTN記者:
当時通販で1万円で買ったものが5万円で売れるということですね

他のアクセサリーとあわせると約24万円の査定となった。これまでは「買い取り」に抵抗感を持つ人も少なくなかったが、「不用品の活用がSDGsにつながる」と考える人も増えているという。

買取専門店「諭吉」査定士 藤本智史さん:
特に遺品整理や母父から譲られてタンスの奥に閉まっていて、使わないものを家に眠らせておくよりは(金に替わることで)誰かに使ってもらえるならという人も多い。金の価格がまだ上がるのかというのは誰にもわからないが、今、価格自体が跳ね上がっているので、今売っても損はしないと思うのでぜひ検討を

あなたの家に「お宝」が

査定士の藤本さんによると、30年前以上前は金とメッキの価値がそう変わらなかったため、当時安く買ったものでも金の可能性があり、メッキだと思って持ち込んだら思わぬ査定額になることもあるという。また経済の専門家は「金の価格は世界情勢や為替の影響を受けやすく、いつまで高騰が続くかは読みにくいが、今は円安の影響もあり買取額が今までになく高騰していることは間違いない」と話している。

捨てようと思っていたものがまさかの高額査定になることも。皆さんの家にも「お宝」が眠っているかもしれない。

(テレビ長崎)