長崎県内21市町をめぐりながら、長崎の知られざる街の魅力を発掘するシリーズ。今回は、県内一のお茶どころ東彼杵町のお茶と地元産の米を使ったグルメに注目する。メニューや食材にはおいしさだけでない、地元愛も詰まっていた。

”日本一”と称される「そのぎ茶」

長崎県一のお茶の生産地・東彼杵郡東彼杵町(ひがしそのぎ)。大村湾を一望できる台地には約400メートルの茶畑があり、県内の約60%を占めるお茶が生産されている。

伝統的な「蒸し製玉緑茶」製法で作られた「そのぎ茶」は、近年、農林水産大臣賞や日本茶アワードなどで日本一のお茶と評価を受けている。二番茶の収穫の準備中だった5月中旬、東彼杵を訪ねた。

国の内外で高い評価を受ける「そのぎ茶」を味わえる店がJR千綿駅と彼杵駅の間の線路沿いにある。「御慶緑茶(OK.GREEN.TEA)」では大村湾を一望しながらゆったりと食事を楽しめるが看板メニューは4種類のお茶だ。緑茶、黄金緑茶、和紅茶、それに抹茶。

そのうち定番の緑茶を頂いた。

KTN記者:澄んだ緑でとても美しい。口の中にふわーっとお茶の香りが広がる。甘味があり、すっきりとした甘みでとてもおいしい

若い生産者との出会いをきっかけに

店にお茶を届けているのが大場真悟さんだ。

そのぎ茶、深緑の里 大場真悟さん:そのぎ茶は甘みがありまろやか。飲んだ時の香りや風味を感じられる

80年ほど続くお茶農家の4代目で、約8ヘクタールの畑で9種類のお茶を育てている。4月から6月ごろは朝8時から夕方6時ごろまで茶畑の管理や茶摘みに追われ、製茶工場はフル稼働。この時期は寝る時間がないほど忙しいが、同世代からの刺激が背中を押してくれているという。

そのぎ茶、深緑の里 大場真悟さん:東彼杵町は若い生産者が比較的多い。小さい産地だが後継者も頑張っている産地なので、そこがおいしいお茶づくりになっている一つのいいところ

大場さんと店を営む山口さんの出会いは3年ほど前、町内のイベントだった。大村市の出身の山口さんはそれまで県の内外で会社員として働いていたが毎週、訪れていた禅道場で抹茶と出会った。人が集まるきっかけにもなるお茶をビジネスにつなげたいと会社をやめてUターンし、2年前の2022年に店をオープンした。

御慶緑茶 OK.GREEN.TEA 山口敦さん:地元、足元を見たら一番いいものがあった。東彼杵のよさは「人」と思っていて、お茶を通して東彼杵町を知ってもらうのが大きな目的としてあるのでお茶が色々な人に飲んでもらえればうれしい

お茶と言えば「米」

おすすめメニューは他にもある。山口さんこだわりのピザだ。

御慶緑茶 OK.GREEN.TEA 山口敦さん:お茶はお米とすごく合うのでお米でピザを作っている

地元産の米を使ったピザは小麦が苦手という人にも好評で、トッピングのトマトは大場さんが育てたもので地元愛が詰まったこだわりの一品だ。

御慶緑茶 OK.GREEN.TEA 山口敦さん:自分が顔を知っている人から買う。性格も人間性もわかっている。心を伝えるということがしたいのですごく楽しいです

町で初めてとなるストリートピアノを設置したり、英語でSNSに投稿したり、海外への発信も意識している。

御慶緑茶 OK.GREEN.TEA 山口敦さん:お茶は文化なので日本だけで楽しむものとせず海外にも売っていきたい。彼杵のお茶を世界中の人に飲んでほしい

東彼杵のお茶を通じて町の人々の心を伝える。日本のお茶が世界中の人々に愛されることを山口さんは目指している。

こんなまちメモ

<東彼杵郡東彼杵町>東彼杵町は、風光明媚な大村湾に面した長崎県のほぼ中央に位置する。主な産業は農業で、お茶、イチゴ、アスパラガス、みかん、米などの産地で、漁業も盛んな地域だ。近年はグリーンティーリズムと言う欧州のツアーと提携したお茶農家の農家民泊も行われ、海外からの注目も集めている。

(テレビ長崎)