京都市コールセンターの関係者:『NTM(日本トータルテレマーケティング)』は、やってるなって思ってましたし、まあ、この業界はやっぱりそういうところでお金をもうけているんだろうなという風に思うので。

こう語るのは、京都市が新型コロナのワクチン接種のために用意したコールセンターの関係者。

京都市のコールセンターでは、業務を請け負っていた「日本トータルテレマーケティング」の元社員・東 幹雄容疑者(47)と、三浦俊介容疑者(42)が逮捕されている。

2人は2023年、業務に携わった人数を水増しし、京都市からおよそ2700万円をだましとった疑いがもたれている。責任者だった東容疑者は容疑を否認する一方、三浦容疑者は「東容疑者に指示された」と容疑を認めているということだ。

コロナ禍に乗じて起きた不正。

京都市コールセンターの関係者:コールセンターって見えないところでやってるじゃないですか。向こうの言い値で、『これくらいの人がいないと回りませんよ』と言われたら、『じゃあ出しますね』で終わっちゃう。

総額およそ9億円にも上る過大請求は、なぜ起きたのか。

■約2年間で9億円近くの“過大請求”

京都市をはじめ、全国22の自治体から、新型コロナワクチン接種に関するコールセンター運営などの業務を請け負っていた「日本トータルテレマーケティング」、通称「NTM」。

しかし、京都市から業務委託料を“過大請求”していたことが発覚した。

日本トータルテレマーケティング 森 真吾社長:誠に申し訳ございませんでした。

今年3月に外部の調査委員会が認定した過大請求は、コールセンターを開設した2021年2月から2023年3月まで、総額およそ8億9400万円に上る。

京都市の刑事告訴を受け、警察が捜査。過大請求のうち、2022年9月分について、勤務実態がない80人分の人件費2700万円をだましとった詐欺の疑いで、元社員2人が逮捕された。

京都市コールセンターの当時の関係者が語るその実態とは?

京都市コールセンターの関係者:僕自身は、京都市にはタイムシートはこの倉庫にあるから、出せって言えば出さざるを得ないという話までしているんですけど。

過大請求が指摘された際、「NTM」が京都市に提出した勤務表がある。手書きで勤務開始時間が8時50分と書き込まれているが…。

京都市コールセンターの関係者:京都センターは8時15分から稼働だったので、8時50分というスタートの時間が一つもないんですよ。『8時50分』っていうそもそもの数字があり得ない。

一体、どういうことなのか。

「NTM」が京都市と同じくコールセンター業務を委託されていた兵庫県伊丹市に提出した勤務表と比較してみると…筆跡や勤務時間が酷似。

伊丹市のコールセンターで働いた人の勤務表を京都市にも提出し、稼働人数を水増ししていたとみられる。

■「つけこむ隙がある」コールセンター運営

さらに…。

京都市コールセンターの関係者:私が思っている金額よりも大体6800万円くらいは上乗せされていたので、おかしいなと思っていたというところですかね。

コールセンターで働く従業員について、「NTM」が京都市と結んだ契約は、従業員が働いた時間分を市に請求する契約だった。

しかし「NTM」は、従業員がいないにもかかわらず、想定されていた勤務時間分をそのまま請求し、過大に請求した総額は9億円近くにまで膨らんでいた。

これについて調査委員会は、「NTM」が「想定の勤務時間分」を契約すると誤解した「ミス」だったと結論づけた。

しかし、関係者は「ミスなんかではない」と指摘する。

京都市コールセンターの関係者:京都市の職員が視察に来た時に、その時に席数が足りてなくて、『足りてないですよね』という指摘を1回しているんです。それでも『今、休憩中です』とか言って、(職員は)帰っていったんですけど。僕は『この件を墓場まで持って行ってくれ』と言われました。

“新型コロナ対応”という緊急事態に乗じて「税金」を不正に得る行為。

「NTM」は過大請求分の大半を返還したということだが、警察は組織的な関与がないかも捜査している。

京都市コールセンターの関係者:コールセンターって、見えないところでやっているじゃないですか。どれくらいの人数を置けばどれくらいの電話の件数を取れるとか、そういうことを具体的にチェックしていないので、向こうの言い値で『これくらいの人がいないと回りませんよ』と言われたら、『じゃあ出しますね』で終わっちゃう。

つけこむ隙があるので、やっぱり(不正を行ったのは)『NTM』だけじゃないかなと思ってはいます。

補助金の審査を厳しくするべきだったのか…。しかし、対応の“スピード感”が求められたコロナ事業。

このような取り組みを行う際は、スピード感と不正抑止の両立が求められる。今回の不正について、詳しい捜査と検証を行い、今後の教訓にしていかなくてはならない。

(関西テレビ「newsランナー」2024年6月12日放送)