コロナ禍による自粛期間で感じたSNSの意義「少しでも皆さんを力づけられるなら…」

 なでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)1部INAC神戸レオネッサは、新型コロナウイルスの影響で全都道府県を対象に発令されていた緊急事態宣言の解除を受け、6月1日からトップチーム・アカデミーの活動を再開させた。リーグ開幕が3カ月以上延期となる間、情報発信だけでなく啓発動画や「洗えるINACマスク」の作成、オンラインによるトークイベントの開催、選手によるインスタライブなど様々な試みを行ってきた。自主トレーニングの傍ら、積極的に参加を申し出てきた1人がMF仲田歩夢だ。

 常盤木学園高の一員として高校女子サッカー選手権で2度の全国制覇を果たし、2010年のU-17女子ワールドカップ(W杯)で6試合中5試合に出場した仲田は、ヤングなでしこの人気がピークに達した12年U-20女子W杯でもメンバー入り(右股関節痛で出場は2試合)。MF田中陽子(ウエルバ)やMF猶本光(浦和レッズレディース)とともに、大きな注目を集めた。

 サッカー選手としてプレーに全力を注ぐことはもちろん、なでしこリーグ内でも上位のインフルエンサー力を持ち、これまでも様々な情報発信を行ってきたが、コロナ禍で改めてSNSの意義を感じたという。

「こだわりというほどではないですけど、なかなか見られないプライベートな部分を知りたい方もいるだろうし、サッカーのことだけという方もいるので、見て喜んでもらえるような投稿は意識しています。今までインスタライブを個人でしたことはなかったなかで、自粛期間でたくさんのリクエストを頂きました。実施後には『すごく力になりました』『元気をもらいました』と想像していた以上のコメントが届いて、反響の大きさにびっくりしましたね。SNSはファンの方とつながれる唯一のツール。少しでも皆さんを力づけたり、元気を与えられたりできているなら、どんどん発信していきたいと思っています」

 ただ一方で、なでしこジャパン(日本女子代表)の次代を担うヒロインとして脚光を浴びたかつてと同じく、時に「美人」「可愛い」「モデル級」といった形容詞が独り歩きする報道がなされてしまう傾向は否めない。直近では、6月上旬にINACが発売した「洗って繰り返し使える立体マスク」&「接触冷感マスク」を自ら進んで着用姿をアップして告知を行った際に、その現象が起こった。仲田自身は率直にどのように捉えているのか。

「ヤングなでしこの時は上手く対応できず、落ち込んで嫌な思いもしました」

「まず、私はチームとしてマスクを販売するうえで、少しでもたくさんの人に使っていただけたらなと思って、投稿をしました。フォロワーの方に向けての発信、というのが前提です。記事にして頂くことで新たに知ってもらえて、応援してもらうきっかけになったりもするのでありがたい反面、興味がないし見たくないという方にまで意図しない形で広がってしまうのが、若干のデメリットだとも思っています。

 ヤングなでしこの時はまだ(19歳と)若くて、そういうことに上手く対応できず、すごく戸惑ったし、落ち込んでしまって正直嫌な思いもしました。でも、今は少し年齢も重ねて、一種の割り切りというか、そう言われても仕方ないのかなと。なかなか自分の思いがストレートに伝わらないのは寂しいですけど、私から入ってINACを知ってもらえたり、女子サッカーにこういう選手がいるんだと興味を持ってもらえたらいいと思います」

 なでしこジャパン入りが期待されてきた仲田は2019年1月、日本女子代表候補グループを対象としたなでしこチャレンジのトレーニングキャンプで、フル代表に関わる活動に初参加。しかし、その後は怪我の影響もあって招集されていない。周囲から「代表に入ってほしい」という声が多いと明かしつつ、まずはINACで結果を残したいと決意を口にする。

「応援してくださる方からしたら、一番そこ(なでしこジャパン)に入ってほしいというのがあると思います。ただ、私は代表入りがすべてじゃないとも思っていて、INACに所属している以上はチームのために勝ちたいし、点を取りたい。期待して頂いている分、時にそれが少しプレッシャーになったりもします(苦笑)。代表にたどり着くためにはやっぱりチームで結果を残すことが一番の近道なので、そこしかないですね」

 仲田はピッチ内外で試行錯誤を繰り返しながら、自身の成長と女子サッカー界の発展を願っている。

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

Football ZONE web編集部