【前編】5月のベストディフェンシブプレーヤーは横浜FMのチアゴ・マルチンスを選出

 スポーツチャンネル「DAZN」とパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との連動企画で、元日本代表DFとして活躍した栗原勇蔵氏は5月のJリーグ「月間ベストディフェンシブプレーヤー」に元チームメートで横浜F・マリノスのチアゴ・マルチンスを選出。5月の試合全体を通して高いパフォーマンスを出し続けたことを評価しての選出だという。対談企画の前編では、5月の試合のなかで栗原氏が印象に残ったヴィッセル神戸戦(第13節/2-0)を振り返りつつ、話題はサッカーを始めたきっかけに及んだ。

   ◇   ◇   ◇

栗原 チアゴ選手、今日はよろしくね!

チアゴ・マルチンス(以下チアゴ) ヨロシクオネガイシマス!

栗原 今、Jリーグの試合のなかから『月間ベストディフェンシブプレーヤー』を決める表彰をDAZNさんとやっているんだけど、5月は全体を通してパフォーマンスが最も高かったベストディフェンシブプレーヤーという視点で、チアゴ選手を選出させてもらいました。

チアゴ ありがとうございます! 5月は守備でみんなが貢献してくれました。DF陣だけじゃなくて、チーム全体が助け合って失点も少なかったですし、相手チームの特徴も上手く消していたと思います。全員がディフェンス面でいいパフォーマンスができていたから、そのおかげかなと思います。

栗原 そんななかで気になったプレーということで、第13節のヴィッセル神戸戦を挙げさせてもらったんですけど、前半のアディショナルタイムのセルジ・サンペール選手からの縦パスが古橋亨梧選手に通ったけど、追いついて対応したシーンと、61分の郷家友太選手のシュートをチアゴ選手が体を張って防いだシーンです。でもこの後、珍しく足がつっていたよね?

チアゴ ブロックした後ですね。これは思い出したくもないシーンです(苦笑)。今まであんなに足がつったことはないですが、暑さだったのか、水分補給が足りなかったのか、分からなかったですけど。

栗原 じゃあ、もうこの時はつってたんだね。

チアゴ この時、実はすごくイライラしていたんですよ(笑)。古橋選手が抜け出した時点でオフサイドだったんですよね。だけど、今のルールではフラッグが上がらないから走って追いついて。最終的にケン(松原健)がブロックした後にオフサイドになったんです。

栗原 確かに、オフサイド・ディレイはDFからしたら体力的につらいよね。

チアゴ その後にも、足がつってピッチに戻った時にアユブ・マシカ選手に裏に抜けられて追いついたシーンがありましたが、それも追いついた後にオフサイドになったし。このオフサイド・ディレイはDFにとってはだいぶきついですね。

栗原 俺も現役の時は、すぐにフラッグを上げてほしくて「オフサイドだよ!」って叫んでいたからなあ(苦笑)。

チアゴ 特にF・マリノスの戦術はハイラインなので、戻る距離も長い。そのうえスプリントで戻った後に「オフサイド!」って言われると、本当につらいですよね。

栗原 61分のシーンはどう?

チアゴ その前の走っているところで足がつり始めていたんです。それでジョギングで戻って、ブロックに行って、ボールが当たった瞬間、完全につってしまいました。

栗原 上で見ていて、膝とか怪我したのかなと思ってびっくりしたんだよ。

チアゴ 伸ばしてもらっている時は、日本語で「モット、モット、モット!」って言ってたんだよ(笑)。

栗原 今、ジョギングで戻ってきてたって言っていたけど、仮に足がつっていなかったとしても、今のポジションには戻ってこないといけなかったの?

チアゴ つっていなかったら、シン(畠中槙之輔)の近くにいたと思いますね。キーボー(喜田拓也)とタカ(扇原貴宏)がいた付近です。本来だったら、そこまで自分が戻っていたと思います。

ハンドボールもプレーしていたチアゴが12歳でサッカーを選択した理由

栗原 チアゴ選手の能力は誰もが認めるところだけど、そのうえポジショニングも良くて、コーチングで周囲の選手を動かすこともできる。まさに“鬼に金棒”状態の選手だと思う。なので、単純にミスか、相手の攻撃が完璧な時じゃないとやられることはない。身体能力が高いので目立つけど、決して派手なプレーじゃないし、ポジショニングもいい。改めて本当に凄い選手だと思いました。

チアゴ こうやって選ばれてすごく嬉しいですし、勇蔵さんのような偉大な経歴を持つ選手から選んでもらったことが何より嬉しい。勇蔵さんとも一緒にプレーさせてもらったし、勇蔵さんはサッカーを知っている人。むしろ同じディフェンスの選手から選んでもらったというのが光栄なことです。引き続き、F・マリノスのために、DFとしていいプレーを見せていきたいと思います。勇蔵さんはこれまでたくさんF・マリノスに貢献してきた人ですけど、勇蔵さんの貢献度のちょっとでもF・マリノスに貢献できたらと思っています。

栗原 いやいや、もう十分貢献しているよ! 今、副キャプテンで、神戸戦ではキャプテンマークを巻いていたもんね。今までF・マリノスで外国籍選手がキャプテンマークを巻いているのは、あまりなかったんじゃないかなと思う。

チアゴ F・マリノスに加入してから、チームメートと助け合う、ブラジル人も日本人選手も、助け合うことを第一に考えてやっているつもりです。F・マリノスに貢献したいし、長く日本でプレーしたいと思っています。

栗原 ちなみに、チアゴ選手には聞きたいことがいっぱいあるんだけど、まずはもともとサッカー以外のスポーツもやっていたって聞いたことがあるんだけど、サッカーを始めたのは何歳ぐらいの時なの?

チアゴ 子どもの時からスポーツが身近にあったんです。両親が体育の先生なので、いろいろなスポーツを教えてくれましたし、実際にやっていました。サッカーでキャリアを積もうと思ったのは12歳の時。ハンドボールとサッカーの大会があって、お父さんから「自分でどっちかを選びなさい」と言われて。お父さんとどっちのキャリアがいいのかを相談して、サッカーのほうがいいんじゃないかってことで、そこからサッカー1本で頑張り始めました。

栗原 ハンドボールやってたの? ブラジルではハンドボールもメジャースポーツなの?

チアゴ ブラジルではハンドボールも人気スポーツなんですけど、成功するためにはヨーロッパで活躍しないといけない。でもサッカーは国内で成功している人もいて、サッカーのほうが成功する確率が高いから、お父さんからのアドバイスもあったけど、最終的には自分で選びましたね。

栗原 今の時点で、その時の選択は正解だったと思う?

チアゴ 間違いなく正しい選択だったと思います。サッカーを選択したこともそうだし、ここまでキャリアを詰めたのも家族のサポートがあったからこそだと思っています。

(後編へ続く)

[プロフィール]
栗原勇蔵/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

Football ZONE web編集部