ムシアラはドイツ代表の10番として活躍中

 ドイツ1部バイエルン・ミュンヘンのFWジャマル・ムシアラは21歳にしてドイツ代表の背番号10を背負う中心選手となり、現在開催中の欧州選手権(EURO)で活躍している。イングランド代表の資格も持っていたムシアラがドイツ代表として戦うことになった背景を英紙「ザ・サン」が特集している。

 ムシアラはドイツ生まれだが、7歳で英国に移り住み、サウサンプトンやチェルシーのアカデミーに在籍。世代別代表ではイングランドとドイツ両方の代表としてプレーした経験を持っている。最終的にどちらの代表を選ぶのか大きな注目集めていたなか、2021年にドイツ代表を選んだと正式に表明した。

 ムシアラの学生時代のコーチであるアンドリュー・マーティン氏はインタビューで、今やドイツ代表の将来を担う存在となった元教え子の当時の様子について明かしている。

「(ムシアラは)イングランド代表になるはずだった。私は彼や彼の父親との会話を鮮明に覚えている。ジャマルはU-15で両方の代表としてプレーしたが、彼はイングランドのほうを好んでいた。彼はイングランドのことをよりホームだと感じていた。チェルシーでプレーしていたし、ほかのチェルシーの選手も代表チームにいた。周りの選手のこともよく知っていたんだ。だが、イングランドフットボールにとっては残念なことに、16歳のジャマルはチェルシーと契約せず、バイエルン・ミュンヘンに行くことを決心した。あれですべてが変わったんだ」

 ムシアラはイングランド代表としてのプレーを望んでいたが、16歳でチェルシーからバイエルンへ移籍したことが状況を一変させた。そして当時ドイツ代表を率いていたヨアヒム・レーブ元監督との出会いが最大のターニングポイントになっていたとマーティン氏は語っている。

「当時、ジャマルがヨギ・レーブとバイエルンのアカデミーダイレクターと会ったことを覚えている。彼らがバイエルンのファーストチームやドイツ代表に進むための道を作った。16、7歳でファーストチームの監督に出会えば、決断するものだと思う。そのために時間を作ってくれたとなれば、それはとても印象的なことだ。彼はイングランドでもそうなることを望んでいたが、ドイツへの移籍がすべてを変えた。そこにはレーブの助けとバイエルンの入念な準備があったんだ」

 レーブ監督は2020年に当時17歳のムシアラをドイツ代表でデビューさせ、その後2020年EUROのメンバーにも招集した。この恩師との出会いがなければ、ムシアラにはイングランド代表としてプレーする未来も待っていたのかもしれない。

FOOTBALL ZONE編集部