CL決勝展望。優勝のためにポゼッションを放棄せよ。リバプールを封じる、ジダン監督の奇策とは?

CL決勝展望。優勝のためにポゼッションを放棄せよ。リバプールを封じる、ジダン監督の奇策とは?

バイエルンとのゲームでみせた効率的な攻め

 26日、ウクライナ・キエフに立地するオリンピスキ・スタジアムでチャンピオンズリーグ決勝戦が行われる。ファイナルに挑むのはレアル・マドリーとリバプールだ。共通した長所を持つ同士の対決となる今季のCL決勝だが、勝利の女神はどちらに微笑むだろうか。ジネディーヌ・ジダン監督の奇策も、勝利への近道になるのかもしれない。(文:小澤祐作)

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 今季のチャンピオンズリーグ(CL)も残すところあと1試合となった。ウクライナ・キエフのオリンピスキ・スタジアムで行われるファイナルの舞台に挑むのは、レアル・マドリー(スペイン)とリバプール(イングランド)である。

 前者は現在、CL2連覇中と欧州最高峰の舞台で圧倒的な強さを発揮している。今季も、パリ・サンジェルマン、ユベントス、バイエルン・ミュンヘンと各国リーグの王者を相手に持ち前の勝負強さを発揮して、決勝の舞台へたどり着いた。

 レアルは世界最高ともいわれるカウンターを基本とし、いくつもの勝利を積み上げてきている。それは準決勝で対戦したバイエルンとのゲームでも遺憾なく発揮されていた。

 準決勝1stレグではドイツ王者に長い時間ボールを支配された。バイエルンが60%の支配率を誇ったのに対し、レアルは40%に留まっている。そしてアウェイチームはかなり押し込まれ、計17本ものシュートを浴びせられた。一方のレアルはわずか7本しかシュートを放てなかったのである。

 だが、より効率的にゴールへと迫り、少ないチャンスをものしたのは白い巨人の方だった。前半にヨシュア・キミッヒに先制ゴールを奪われ、勢いに乗っていたバイエルンに対してレアルは、前がかりになった相手の隙を狙うべく、カウンターのチャンスを何度も伺っていた。そのチャンスが巡ってきたのは57分である。

 バイエルンがボールロストするとそれをルーカス・バスケスが奪い、マルコ・アセンシオと2人でショートカウンターを仕掛け、決勝点を挙げたのだ。DFラフィーニャの致命的なミスであったとはいえ、バスケスがセンターライン付近までプレッシャーをかけ、アセンシオも同ライン近くにポジションニングしていたという点を考えると、いかにレアルがカウンターの構えを徹底したいたのかがわかるだろう。

支配率はレアルに無意味? 攻守に貢献する、影の立役者とは

 バイエルンとの第2戦も同じような展開だった。レアルの支配率はわずか40%、対するドイツ王者はこの日も60%の支配率を記録した。しかし、この試合でもボールを保持したチームが勝つことはできなかった(2-2)。

 シュート数も22本放ったバイエルンに対しレアルは9本。パス成功率、パス本数などあらゆる面でホームチームは後手に回ってしまった。

 しかし、この試合で一番多くシュートを放ったのはクリスティアーノ・ロナウドである。レアルの計9本のシュートに対し、背番号7は5本というシュートを浴びせていたのだ。そして、最終的に2点を奪ったのはカリム・ベンゼマだった。

 抜群の破壊力を持つカウンターにおいて、パス成功率や支配率、パス本数の多さは関係ない。それらに手数をかけず、得点を奪うというのが、カウンター最大の強みであるからだ。試合はバイエルンが圧倒していたと見られてもおかしくはない。しかし、C・ロナウドが5本のシュートを放ち、ベンゼマが2ゴールを挙げているという点をみると、前線にボールが行き渡っているということがパス本数のデータなどからはわからずとも、しっかりと認識できるのではないだろうか。

 また、バスケスが守備面で貢献できる点は非常に大きい。単純に守備に厚みが増すだけでなく、ルカ・モドリッチやトニ・クロースなどといったチャンメイクが上手い選手が前線へ果敢に飛び出すことができるからだ。彼らがより高い位置を取ることによって、決定的なパスが増えるというプラスな面がある。

 事実、バイエルンとの第1戦で右ウイングとして先発したバスケスの平均プレーエリアはセンターラインよりやや低い位置だった。それに対してインサイドハーフのモドリッチやクロースは同選手より少し高い位置を取っていることがわかっている。リバプールとの決勝でも、攻守両面で存在感を発揮したいところである。

ブラジル人FWの動きは重要な要素

 対するリバプールもまた、レアルと同じような長所を持っている。激しい前線からのプレスを90分間継続し、ボールを奪うと素早くゴールへ向かい、その間に一気に選手がなだれ込んでくる。カウンターの威力は白い巨人にも引けを取らない。何と言ってもサディオ・マネ、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノの3トップは世界屈指の強力なトリオだ。

 リバプールとしてはCL準決勝で対戦したローマとの1stレグのような戦い方が理想と言えるだろう。この試合ではレアルと同じく、支配率、パス成功率、パス本数とあらゆる面でリバプールはローマを下回っている。

 しかし、シュートは21本放っており、決定的なパスの本数もリバプールが上回っているというデータが出ている。つまり、よりゴールに近いエリアでプレーしていたのはホームチームの方であった。

 リバプールもポゼッション重視のチームを得意としていると言えそうだ。事実、リーグ戦でもCLでもジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティ相手に完璧なゲームをみせていた。

 中でもフィルミーノ存在は大きい。基本的には3トップの真ん中でプレーしているが、試合中はサイドに回ったり、少し下がった位置でボールを受けたりと典型的なCFというタイプではない。

 しかし、背番号9が下がって相手DFを釣り出したりボールを受ける動きを繰り返すことによってマネやサラーに背後のスペースを使わせているのだ。記録には残らない“アシスト”をフィルミーノはやってのけている。

 実際、ローマとの準決勝1stレグで一番多く決定的なパスを配給しているのはフィルミーノだった。平均プレーエリアもマネやサラーよりも当然低く、パスを受ける回数も決して少なくない。ブラジル代表FWのプレーは、レアルに勝利するためにも非常に重要になってくるのではないか。

ジダン監督の采配はいかに

 このようにCL決勝戦はお互いにポゼッションを放棄し、カウンター主体のサッカーを展開してくることは容易に想像がつく。そのため攻守が素早く入れ替わり、スピード感溢れるゲームになることが予想されている。

 レアルが少し工夫を加えてくるとすれば、引いてリバプールにボールを持たせるという形だろうか。

 ジネディーヌ・ジダン監督は大舞台でも奇策を用いてくる指揮官だ。レアルは強力な攻撃陣にばかり目が行ってしまうが、セルヒオ・ラモスやラファエル・ヴァランを中心とした守備陣が守りに徹底した場合は強固な最終ラインを築くことも可能である。

 リバプールは引かれた相手に対して攻めあぐねるという光景がしばしば見受けられるため、そうした弱点を突くためには、ジダン監督が守りを徹底させるやり方を大舞台で用いてくる可能性も否めない。そうなった場合、リバプールは相当な苦戦を強いられてしまうだろう。

 仮にリバプールが引いて守ろうとしても、それほど屈強ではない守備陣がどこまでそれを保てるかというのは課題になってくる、ビルフィル・ファン・ダイクは安定しているものの、デヤン・ロヴレンはやや不安定だ。最後は個の能力がメインの話になってしまったが、奇策を用いるのに適しているのはレアルの方であり、リバプールはそれまでのやり方を変えず真っ向勝負を挑むのが一番だろう。

 お互いに勝利のためにポゼッションは必要ない。ボールを持つ時間が長くなればなるほど、相手にチャンスが巡ってくる機会が増えてしまうというのは、ここまでで十分わかっていることだ。

 レアルの3連覇か、リバプールが2004/05シーズン以来の優勝を飾るのか。舞台はウクライナ・キエフ。勝利の女神はどちらに微笑むだろうか。

(文:小澤祐作)


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