「札幌は都倉の“アホさ加減”がいいね!」。J1総括、優勝争いの分かれ目はロシアW杯?【宮澤ミシェルの独り言】

「札幌は都倉の“アホさ加減”がいいね!」。J1総括、優勝争いの分かれ目はロシアW杯?【宮澤ミシェルの独り言】

川崎Fはチームの色が突出している

日本代表選出経験も持つ元Jリーガーで、現役引退後は解説者として活躍中の宮澤ミシェル氏の連載企画。第24回は、今月1日に閉幕した明治安田生命J1リーグについて。川崎フロンターレとサンフレッチェ広島の明暗を分けたものとは? また、宮澤氏はあるチームを「素晴らしい」と絶賛している。(語り手:宮澤ミシェル)

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 今回はJ1リーグを、上位陣を中心に振り返っていきたいと思う。去年4位の柏レイソルが17位で自動降格して、6位だったジュビロ磐田がプレーオフに回ることになった。あれだけのメンツがいても、少しリズムが狂うとこうなってしまうというのはJ1らしいと言える。接戦が特徴のいいリーグになってきていると思うよ。

 そんななか、頭一つ抜け出して優勝したのが川崎フロンターレだ。川崎Fはチームの色が突出している。風間(八宏)さん、鬼木(達)が作ったものだね。

 最終的に2位と12ポイント差をつけている。特に夏場以降にグッと力が出てきたというか、戻してきた。5月のはじめに2連敗したけど、その次の柏戦で逆転勝利。このあたりから良くなったね。中断期間を挟んで連勝しているし。鬼木監督はロシアワールドカップの中断期間でチームを作り直したんだね。特にディフェンス面での意識づけという部分。ちょっと緩くなっていないか、ということで作り直して、選手たちも納得して戦った。

 前線でボールを失った瞬間の切り替えのところ。それができるようになったら今度は前からプレスに行けるようになって、相手陣内でボールを奪える。そこでチームが変わったと思う。最多得点、最少失点ということを考えても、Jリーグの中で彼らのベースというのは非常にいいものになってきた。

 去年の初優勝は間違いなく今年に繋がっている。ただ苦しいこともあったと思うよ。最初は思うように勝ち点を伸ばせなくて。あれ? となった時に、ふわっとなる部分があったんじゃないかな。勝って当たり前、自分たちはチャンピオンチーム、追われる立場、叩かれる立場なんていうところは、意識の中に出てくるものだから。そこを鬼木が締め直した。

 今までは「自分たちはいいサッカーをして勝つんだ」という意欲に燃えていたのが、去年優勝したことで今度はそれを続けなきゃいけない、となった。その苦しさというのは、やっぱり周りの変化が大きい。見る目も変わるし、相手チームの目の色も変わる。ちょっと大変だよね。

 でも、以前(中村)憲剛がメールをくれたんだけど、「『今年も』と言えることが非常に嬉しい」と。

「城福(浩)監督は中断期間なくそのままやりたかったと思う」

 2位に終わった広島は、前半戦の強さが際立っていただけに残念な面もあるけど、去年は残留争いをしていたからね。その前半戦の勢いは、前の年から来ている。こんなもんじゃダメだと。勝ちたくて、もう一回蘇ろうぜという勢いがそのまま出て、パトリック、ティーラシン、柏(好文)と凄かったよね。青山(敏弘)も試合をコントロールしていたし。それで得点も取れていた。ところが対戦相手に研究されて、パトリックも取れなくなって、チームの勢いもピタッと止まってしまった。

 これがチーム、ということだよね。生ものだよ。ちょっとバランスを崩すと立て直すのが大変。チーム力に差がないリーグなので、例えば城福(浩)監督は中断期間なくそのままやりたかったと思う。選手がどれだけ疲れていようが、あの流れのまま行きたかったんじゃないかな。あそこで間が空いたのは非常に難しかったと思う。いいチームほど何をプラスすればいいか悩むものなんだ。

 僕は現役時代、アラン・ジレットという英国人の監督の下でプレーしていたんだけど、よく言われたことがある。「あまりいいことをやろうとしすぎるなよ。十分やっているんだから、これを維持すればいいんだ。あとは俺の仕事だから」と。彼はそういうのが上手かった。

 監督としては好調なチームにもっと上積みしたいと思うものだけど、そうなると一人ひとりが頑張りすぎてしまう。頑張るのはいいことなんだけど、チームってバランスだから。無理はいけないし、かといって怠けてもいけない。程よいバランスで選手の距離感だったり、自然の感覚が出てくる。ゲームが始まるとなんか整う、というような。

ミシャと故ニカノールさんの共通点

「頑張りすぎる」という意味では、特に日本みたいな真面目な選手たちは、どんどん行く。でも考えてみれば、選手たちは自立していないといけない。僕たちって練習を休めなかった。1日練習を休むと取り戻すのに3日かかる、という時代だった。でも、海外には休むと上がるという考え方もある。コンディションも筋肉の状態も上がる、と。そこが違うんだよね。肉体的には落ちているんだけど、メンタル面を上げておけば調整もしやすいとう風にプラス思考が多いんだよね。

 素晴らしいと思ったチームは北海道コンサドーレ札幌だ。最後までACL出場権を争ったというのもあるけど、とにかく楽しませてもらった。都倉(賢)とジェイがいて、三好(康児)やチャナティップがいて、そういう選手たちが(ミハイロ・)ペトロヴィッチ監督のサッカーに見事にハマったね。本当に選手がみんな輝いていた。駒井(善成)もいるし、菅(大輝)と福森(晃斗)の左サイドなんて強烈で最高だった。

 都倉の“アホさ加減”がいいね! 彼には自分の世界があるんだ。いい意味でナルシスト的な。ああいう選手は1チームに1人ほしいね。イブラヒモビッチみたいな、訳わかんないことやりそうな雰囲気があるじゃない。

 僕は以前、ツエーゲン金沢が地域リーグにいた時にスーパーバイザーという立場でクラブに関わっていた。それで当時、フロンターレで試合に出られていなかった都倉を借りようと思ったんだ。国士舘大学の後輩の向島建が強化部にいたから、「都倉を貸してくれない?」と頼んだんだよ。結局、実現はしなかったけど、都倉は化けそうな雰囲気が当時からあった。

 殻を破れない限りキャリアは続かないなとも思っていたけど、都倉は色々なクラブを転々としてあそこまでの選手になった。だから今、こうして活躍しているのは嬉しいよ。ミシャとの出会いも大きかっただろうね。ミシャは選手の可能性を引っ張り出そうとする。その選手の持っているものが雰囲気でわかるんじゃないかな。先日亡くなったニカノールさんと似ているよ。

名古屋のジョーはなぜ得点王になれたのか

 ニカノールの練習ってあまり面白くなかったんだ。ずっとゲームをやっておけと言うわけ。小さいボールで遊びのような感じの。ニカノールはそれを真面目に眺めているんだよ。多分、そこで選手一人ひとりを観察していたんだと思う。そういうアプローチ。すると、岩本輝雄とか、名良橋(晃)、名塚(善寛)とみんな上手くなっていくんだよね。

 ギスギスしたゲームじゃなくて、ちょっとだけ余裕があるからどの選手も自分を出し始める。そうすると選手の潜在的なものが見えたりする。だから、ニカノールはそういうものを見るために、あのゲームをやらせたんだと思う。多分ミシャも同じで、色々な練習の中でこの選手には何ができるのかというのを見てきたんじゃないかな。

 最後に、得点王を獲得した名古屋グランパスのジョーにも触れたい。彼は自分の空間を作るのが上手い。ディフェンスが届かないところにボールを置けるし、派手じゃないけど確実に決める。

 右足、左足、ヘディングと満遍なく打てて起点の作り方も上手い。中央にどかんと構えて、あまりサイドには流れない。ああいうのはディフェンスからしたら嫌なんだ。ど真ん中でプレーするということは、ディフェンスもそこにいるから潰しにいける。それでも潰せなくて仕事をされるから嫌なんだよね。そういう強さがジョーにはある。

 名古屋は残留争いをしたチームだけど、その中でもしっかりジョーは仕事をした。これは称賛すべきことだと思うよ。

▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。


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