ユベントス、アトレティコ戦は良くも悪くも大きな一戦に。見えた収穫と課題こそサッリの色だ

ユベントス、アトレティコ戦は良くも悪くも大きな一戦に。見えた収穫と課題こそサッリの色だ

後半だけで2点を奪取も…

 チャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグD組第1節、アトレティコ・マドリー対ユベントスが現地時間18日に行われ、2-2のドローに終わっている。後半に2点を奪いながら追いつかれ引き分けに終わったユベントスだが、この試合では良くも悪くもサッリ監督の色が出たと言える。(文:小澤祐作)

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 エスタディオ・ワンダ・メトロポリターノに乗り込んだユベントスに待っていたのは、サポーターからの強烈なブーイングとアトレティコ・マドリーの驚異的な粘りであった。ただ、悲願とも言えるチャンピオンズリーグ(CL)制覇に向け、その大事な初戦は良い意味でも悪い意味でも、ユベントスにとっては貴重なものだったのではないだろうか。

 アウェイチームはこの試合でドローに終わったセリエA第3節のフィオレンティーナ戦から先発メンバー一人を変更。負傷したFWドウグラス・コスタに代わりFWファン・クアドラードがスタートからピッチに立つことになった。また、この試合での起用が微妙と思われていたMFミラレム・ピャニッチも無事にスタメン入りを果たしていた。

 アウェイでどのような戦いを見せるかに注目が集まったユベントスであったが、立ち上がりはアトレティコのハイプレスに苦しむ。コンパクトな守備陣形を保ちながらボールを奪い返そうとしてくるホームチームに対して中央からの攻めが有効ではなくなり、サイドに逃げる展開が続いたのだ。クアドラードやFWクリスティアーノ・ロナウドらウィングの選手は突破力を持っていたものの、堅守を誇るアトレティコを前にサイドを崩し切る場面もかなり少なかった。

 反対に、守備時はFWジエゴ・コスタ、FWジョアン・フェリックスの2トップに手を焼いた。彼らの距離感と関係性は抜群で、とくに後者の突破力はやはり申し分なかった。細身だが体幹がしっかりしており、ボールを簡単に失うことがない。ドリブルのキレ味も凄まじい。10分にはDF3人に囲まれながらも自力で打開してシュートまで持ち込んでいる。

 ただ、ユベントスも守備には自信を持っている。DFレオナルド・ボヌッチとDFマタイス・デリフトの2CBは大きなブレがなく、アトレティコの攻めに耐え続けた。

 激しい攻防の末、前半を0-0で終えたユベントスであったが、後半立ち上がりにカウンターからクアドラードが先制点を奪取。流れを引き寄せると、65分には左サイドからのクロスにMFブレーズ・マテュイディが頭で合わせ追加点を挙げる。後半だけで2点を奪ったことで、勝利の可能性をグッと引き上げた。

 が、やはりアトレティコはそう簡単に攻略できない。マテュイディのゴールから5分後にはDFステファン・サビッチに1点を返されると、後半ATには途中出場のMFエクトル・エレーラが同点弾を叩き出す。試合はそのまま2-2で終了することになった。

見えたサッリの色

 ワンダ・メトロポリターノで2点を奪い、ドローという結果自体は悪くないだろう。アトレティコにシュート19本を放たれたが、少なからず勝ち越すチャンスもあったため、ユベントスにしてみれば大きな収穫を得た試合になったはずだ。

 マウリツィオ・サッリ新監督就任後、4-3-3のフォーメーションをベースとしながら、ポゼッションスタイルを確立させようとしているユベントス。そうしたサッカーの中でC・ロナウドのような選手がどこまで生きるのかは今シーズンの注目ポイントともいえるが、アトレティコ戦では一つ攻撃の形というものが見えてきた。

 サイドの選手にボールが当たった際、インサイドハーフの選手の動き出しが非常に速くなっていたのはこの試合で見受けられた。たとえばC・ロナウドがボールを保持した際には、インサイドのスペースへマテュイディが走り込んでパスを受けようとする。そうすると必然的にフランス人MFが相手選手を引き付けることができ、C・ロナウドにとってはドリブル、またはパスのコースが開けることになる。反対の右サイドにも同じような形が見つかった。

 さらに、ウィングの選手がボールを保持した際、インサイドのスペースがなかった場合はインサイドハーフの選手は思い切ってペナルティエリア内に侵入する。この時の狙いは、相手のサイドバックとセンターバックの間に位置することで、相手のサイドバックをやや内側に寄せること。一方センターバックの選手は1トップの選手を放っておくことができないため、無茶にインサイドハーフの選手に寄せることは危険。こうすることでウィングの選手に少しの余裕が生まれ、ドリブル突破またはクロスを上げるまでの流れをスムーズにすることができる。マテュイディらインサイドハーフの選手は、ペナルティエリア内に侵入し、仮にパスが来なくても、その動きによる効果は発揮できているということだ。

 こうした狙いは試合の中で幾度となく見受けられた。実際、マテュイディのペナルティエリア内におけるタッチ数はクアドラードやFWゴンサロ・イグアインよりも多く、C・ロナウドとも大差はなかったのである。

今後に向けての課題は?

 ただ、やはり課題もある。この試合で明確となったのはやはりセットプレーの守備だろう。アトレティコがそうしたあたりの強さを持っているとはいえ、この日はあまりにもやられすぎた。ここは改善が必要だ。

 そしてチェルシー指揮官時代、いや、もっと前からの課題であるアンカー対策をされると攻撃が手詰まり状態になる問題。チェルシー監督時代はMFジョルジーニョが同ポジションを務め、シーズン序盤は輝きを放ったが、終盤にかけそこを対策されるとやはり勢いは失速。最終的にヨーロッパリーグ(EL)制覇をもたらしたが、シーズン中に解任報道が出るなど、その減速ぶりは明らかだった。

 ユベントスでもチェルシー時代と同じ4-3-3を採用するサッリ。現チームでアンカーを務めているのはピャニッチだが、彼が何らかの理由で欠場する場合、または封じられた場合、果たしてどうするのか。この日もフェリックスは守備時にピャニッチへのパスコースを切りながら警戒しており、そこにパスが通ってもMFサウール・ニゲスらが猛烈なプレスを与えて潰していた。すでにピャニッチがサッリ・ユベントスにおけるキーマンと言うことは明らかであり、他のチームは当然対策を練ってくるはずだ。

 かといって他の選手がピャニッチと同じ役割を担えるのかは別の話。マテュイディ、MFサミ・ケディラ、MFアドリアン・ラビオ、MFアーロン・ラムジー、MFエムレ・ジャンはタイプ的にボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFとは異なる。サッリがこの辺りになにか考えを持っているのかはシーズンが進むにつれ確認していきたいところだ。

 あとはやはりクロスボールに対する怖さが足りない。これは守備面ではなく攻撃面の話だ。この日も幾度となくクロスを上げたユベントスであったが、チャンスシーンはそれほど多くはなかった。マテュイディは頭で得点、C・ロナウドもペナルティエリア内ではさすがの怖さを見せたが、物足りなさは残る。だからこそ、FWマリオ・マンジュキッチといううってつけの駒がいるのだが…。どうやらサッリ監督の中では構想外となっているようだ。ただ、サイドからのクロスには一工夫あっても良いのかもしれない。

 アトレティコ戦では、良くも悪くもサッリ監督の色が出た。次なるCLでの相手はレバークーゼン。こちらも手強いチームとなるが、ユベントスはどのような試合を見せるか。

(文:小澤祐作)


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