中島翔哉は日本代表の10番に相応しい存在か。ポルトでの厳しい扱いとエースナンバーの行方

中島翔哉は日本代表の10番に相応しい存在か。ポルトでの厳しい扱いとエースナンバーの行方

出場機会を得られていない主力選手たち

日本代表は14日に2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選・キルギス戦を戦う。日本代表で背番号10を背負う中島翔哉は、所属するポルトで思うような出場機会を得られておらず、コンディション面では不安を抱える。キルギス戦は今後も中島が10番を背負うことができるかのターニングポイントになりそうだ。(取材・文:元川悦子【キルギス】)
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 14日の2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選・キルギス戦まであと2日。11日から現地調整をスタートさせた日本代表だが、12日には合流が遅れていた中島翔哉や南野拓実ら欧州組10人が合流。23人全員が揃う形となった。

 しかしながら、この日は橋本拳人がコンディション調整のためホテルで別メニュー。トレーニングは22人で行われた。この日も快晴ながら16時時点の気温が7度台と冷え込みが厳しく、到着したばかりの面々は精力的に走り込んでいた。

 とりわけ、クラブで出場機会の少ない柴崎岳は最後のランニングで1人だけスピードを上げるなど追い込みをかけ、遠藤航も居残り練習に取り組んだ。「本当はもっと練習したかった」と遠藤もコメントしていたが、コンディション面でやや不安を抱える選手が何人かいるのが、今回の懸念材料の1つと言っていい。

 エースナンバー10をつける中島翔哉もその1人だろう。今夏移籍した新天地ではセルジオ・コンセイソン監督から厳しい扱いを受けていて、10月の代表シリーズ後はポルトガルリーグとUEFAヨーロッパリーグ(EL)6試合で先発ゼロにとどまっている。

 途中出場は4試合あったが、前田大然との直接対決だった10月30日のマリティモ戦を見ても、後半18分にピッチに送り出されてから左サイドと右サイドの目まぐるしくポジションを変えられるなど、指揮官から明確な役割を託されていない印象も強かった。さらには、前田大然の激しいチェイシングを受けてボールを奪われ、ビッグチャンスを作られるシーンもあり、強豪クラブで確固たる地位を築けていないのが実情と言わざるを得ない状況だ。

「スパイクに関してはこだわりがある」

 フィジカル的には不安もあるが、本人は安西幸輝ら慣れ親しんだ仲間との1カ月ぶりの再会に胸を躍らせている様子。ランニング中もボール回しでも弾けんばかりの笑顔を披露。メンタル的にはかなりいい状態のようだ。加えて言うと、11月1日からスパイク契約メーカーをアディダスからミズノへと変更。それが12日に正式発表され、本人もどこか安堵感をにじませた。

「今まではアディダスにすごくお世話になっていましたが、これからはミズノでプレーします。スパイクに関しては結構こだわりがあります。自分に合ったスパイクはサッカー選手がこだわれる部分ですし、すごくプレーに影響するところなので、しっかりと自分で決めて契約できたのはよかったです」と最近はメディアに多くを語らない中島が非常に前向きな受け答えをしてみせたのだ。

 自分が一番プレーしやすいスパイクで今回から戦えるのだから、キルギス戦ではより勝利に直結するパフォーマンスが期待されるところ。逆にそれをしなければ、「アディダス以外の10番」がこの先も続く保証はない。というのも、98年フランスワールドカップの名波浩に始まり、2006年ドイツ・2010年南アフリカワールドカップの中村俊輔、2014年ブラジル・2018年ロシアワールドカップの香川真司と「エースナンバー10はアディダス契約選手」という暗黙の了解が長年、続いているからだ。

 幼少期から10番に憧れ続けた本田圭佑も自身の契約先がミズノということで、「10番は真司に決まっているから、他の番号を選ぶしかない」と割り切り、2012年5月末に背番号を18から4へ変更している。

 過去にその掟が破られたのは、2002年日韓ワールドカップの時くらい。中村俊輔の落選によって、プーマ契約選手の中山雅史が10番を背負うことになったのだが、これはあくまでアクシデントによる緊急避難的な対応で、大きな問題にならなかった。

中島翔哉は10番に相応しい存在か

 中島の場合はまだワールドカップ予選途中で、まだまだ先々がどうなるか分からない立場。「翔哉ならアディダスでなくても10番にふさわしい」という絶対的地位を確立できれば誰も問題視しないだろうが、現所属のポルトで中途半端な立ち位置にとどまり、さらに森保ジャパンでも圧倒的なパフォーマンスを示せなければ周囲の雑音が大きくなることも考えられる。

 本人は「背番号でサッカーするわけじゃないんでこだわりはないです」と口癖のように話しているが、代表の看板スターたるべき結果とプレーは求められてくる。今回の2次予選突入後は、重圧のかかる9月の初戦・ミャンマー戦で華麗なループから先制弾を叩き出し、10月のモンゴル戦で吉田麻也と遠藤のゴールをリスタートからお膳立てした。ここまでは大きな仕事をしているが、今回のキルギスはそう簡単にはいかないかもしれない。国立競技場のピッチ環境も劣悪で、ボールを持ちたがる傾向の強い中島には決して芳しい環境とは言えないからだ。

「もともとそんなに気にしないので大丈夫だと思います」と彼自身は楽観視しているが、果たして思惑通りに行くかどうか、気になるところだ。

 10月のタジキスタン戦同様、超満員のサポーターが詰めかける完全アウェームードも多少なりともプレッシャーにはなるだろう。困難な状況でも冷静に状況判断しながら、ゴールに直結する仕事ができるか否か。そこは中島に託される重要命題だ。森保ジャパン発足後、すでに10ゴールをマークしている盟友・南野に比べると得点数も足りないだけに、フィニッシュの部分で違いを見せることも肝要だ。

 12月のEAFF E-1 サッカー選手権は海外組の招集が困難なため、中島にとってはキルギス戦が2019年の代表ラストマッチとなる。中島翔哉が10番に相応しい存在かどうかを日本中に再認識させる大一番。もちろん勝利は必要不可欠だが、本人には強い自覚を持って臨んでもらいたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】


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