スタンドで見届けていたベンチ外選手たちが何かを悟って呆然と立ち尽くし、青ざめた表情で微動だにしなくなった様が全てを象徴しているようだった。

 現地8日に行われたポルトガル1部リーグ第13節で、ポルトはベレネンセスと1-1のドローに終わった。試合内容は惨憺たるもので、アウェイまで駆けつけたポルトサポーターからはブーイングの嵐。まさに「勝ち点2を失った」と言える一戦だった。

 序盤からエンジンがかからないポルトは、14分にベレネンセスのMFアンドレ・サントスにミドルシュートを決められ失点してしまう。その後、32分にDFアレックス・テレスがPKを決めて追いついたが、それ以上のゴールが生まれる気配は試合終了まで全くなかった。

 試合後の記者会見場へ向かうために記者が選手たちのロッカールーム前を通らなければならない導線になっており、扉の開いたポルトのそれからは地獄のような雰囲気が漂ってきた。ある選手は扉の目の前の椅子に座って空を見上げ動かない。

 記者会見もなかなか始まらなかった。普段であれば遅くとも試合終了から20分後にはアウェイチームの監督が姿を見せるが、コンセイソン監督が会見場に現れたのは試合終了から1時間が経った頃。異例の事態だ。それまではロッカールームの扉を閉ざし、ポルトの選手は誰一人として外に出てこなかった。

「ファイナルサード(ピッチの相手ゴール側3分の1)で判断力が欠けており、チャンスを得てもゴールを逃した。我々はなんとか組み立てていったが、最後のパス、クロス、シュートがいつものようにいかなかった」

 冒頭で痛恨のドローを悔やんだコンセイソン監督は、明らかに不機嫌だった。「勝つために十分なことをしたのか?」という質問にも「とにかくやった。(中略)最高のチームが勝たなかった。最も長い時間ボールを支配し、最も多くのシュートを打ち、最も多くのチャンスを生み出したチームが勝たなかった」と早口で答える。

 そして「ピッチ上で最高の選手がエルベ・コフィ(ベレネンセスのGK)だったというなら、全員が同意すると思う。それが理由だ」と、好プレーを連発した相手GKに賛辞を送った。だが、試合直後のフラッシュインタビューでまくしたてた審判への批判については明言を避けた。

 ポルトはベレネンセスと引き分けたことで、首位ベンフィカとの差が4ポイントに広がってしまった。ある記者が「ベンフィカに遅れを取っていることは心配か?」と問う。いつもなら10分近く続く記者会見を、わずか4分で切り上げたコンセイソン監督は最後まで強気を貫いた。

「まだ63ポイントを獲得でき、リーグ戦終了まで全ての試合に勝つ義務がある。それができれば優勝になる。最初に自分がチャンピオンになると言ったのなら、今もチャンピオンになると言う。我々はチャンピオンになれると確信している」

 次の試合は12日、ヨーロッパリーグ(EL)のグループリーグ突破がかかったフェイエノールト戦。ホームスタジアムでの大一番に、ファンも厳しい姿勢で臨むだろう。ポルトの選手たちは指揮官の言葉通り、「勝つ義務」を遂行するに値するプレーを見せられるだろうか。年内に残されたラスト4試合でチームの真価が問われる。

(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)