パリ・サンジェルマンの予想先発メンバー

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)はいよいよ準決勝に突入する。現地18日に行われるパリ・サンジェルマン対RBライプツィヒはどんな試合になるだろうか。両クラブの現状や、先発出場メンバーを占う。

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システム:4-4-2

▽GK
セルヒオ・リコ

▽DF
ティロ・ケーラー
チアゴ・シウバ
プレスネル・キンペンベ
フアン・ベルナト

▽MF
マルキーニョス
レアンドロ・パレデス
アンヘル・ディ・マリア
ネイマール

▽FW
マウロ・イカルディ
キリアン・ムバッペ

 準々決勝のアタランタ戦でハムストリングを痛めて途中交代となったGKケイラー・ナバスは、RBライプツィヒ戦を欠場することがすでに発表されている。代役はセルヒオ・リコになるだろう。また、マルコ・ヴェッラッティは16日からトレーニングに復帰しているようだが、準決勝では無理して復帰を急ぐことはなさそうだ。

 他にも欠場のリスクを抱える選手が多いのは気がかりと言える。チアゴ・シウバやイドリッサ・ゲイェも練習こそこなしているものの、コンディションに不安があるとのこと。一方、準々決勝を出場停止で欠場したアンヘル・ディ・マリアは万全の状態で戻ってくる。そして足首の負傷から復帰したキリアン・ムバッペも先発出場の準備が整っている。

 攻撃で核となるディ・マリアとムバッペの帰還により、システムもアタランタ戦の4-3-1-2から4-4-2に変わりそうだ。ネイマールはトップ下から左サイドに回り、イカルディとムバッペが前線でコンビを組む形が予想される。

RBライプツィヒの予想先発メンバー

システム:3-3-3-1

▽GK
ペテル・グラチ

▽DF
ルーカス・グロスターマン
ダヨ・ウパメカノ
マルセル・ハルシュテンベルク

▽MF
ノルディ・ムキエレ
ケビン・カンプル
アンヘリーニョ
マルセル・ザビツァー
ダニ・オルモ
クリストファー・エンクンク

▽FW
パトリック・シック

 対戦相手によってシステムや選手構成を細かく変更するユリアン・ナーゲルスマン監督の采配を予想するのは難しい。準々決勝のアトレティコ・マドリー戦ではボール保持時に3-3-3-1、非保持時に4-2-3-1となる可変システムを採用していた。

 キーマンとなったのはコンラート・ライマーだ。ボール保持時には右ウィングバックの位置に張り出し、攻撃から守備への切り替えと同時に4-2-3-1のセントラルMFへスライドする特殊なタスクを課されていた。

 ナーゲルスマン監督は基本的に中央に数的有利を作って、ボールを奪えば一気に攻め崩す戦い方を志向している。守備時にも明確な狙いを設定し、複数人で相手の弱みとなる箇所でボールを回収できるようなメカニズムを構築する。

 こうした変幻自在の戦術を支えるのは、複数のポジションをこなす多機能性を備えた選手たちのインテリジェンスの高さだ。アトレティコ戦で劇的なゴールを奪ったタイラー・アダムスや、10番のエミル・フォルスベリ、圧倒的な運動性能と活動量を誇るアマドゥ・ハイダラなどにも先発起用の可能性は十分にあるだろう。また、クリストファー・エンクンクにとっては昨季まで在籍した古巣との対戦になる。

マッチプレビュー

 RBライプツィヒのユリアン・ナーゲルスマン監督にとって、パリ・サンジェルマン(PSG)を率いるトーマス・トゥヘル監督は現役時代の最後に指導を受けた恩師だった。アウクスブルクのセカンドチームでプレーしていた20歳当時、そのチームを率いていたのが駆け出しの頃のトゥヘルだったのだ。

 膝の大怪我を負ってプレーできなくなった悲運のセンターバックに、若きトゥヘルは対戦相手のスカウティングを任せた。これがのちに“ミニ・モウリーニョ”と言われるようになる青年の指導者キャリアの第一歩だったと言われる。

 現地17日にCL準決勝の前日記者会見に臨んだトゥヘル監督は、「彼はいつも自分たちが何をしているのか、その背景にある理由を知りたがっていたので、非常に嫌な選手だった」と若き日のナーゲルスマンについて語った。

 一方で「彼が提供してくれた(対戦相手の)レポートから才能を見ることができた」と指導者としての才覚に気づいていたことも明かしている。逆にナーゲルスマンは「あれがCL準決勝でのトゥヘルとの対戦につながるとは夢にも思わなかった」と感慨深げだ。

 選手と監督としての出会いから13年経ち、お互いに監督となってCL準決勝の舞台で激突する。2人はこれまで通算3度の対戦実績があるものの、ホッフェンハイムの監督だったナーゲルスマンは1分2敗とドルトムント時代のトゥヘルに負け越している。

 だからこそ「私は何度かトゥヘルと(監督として)大戦したが、勝ったことはめったにない。それが今、変わるはずだ」と、恩師相手の一戦に向けて鼻息も荒くなる。

 “赤い雄牛たち”を率いるナーゲルスマンは、CL史上最年少の33歳で準決勝に到達した監督になった。ラウンド16では41歳でポルトを欧州の頂点に導いたジョゼ・モウリーニョ率いるトッテナムを下し、準々決勝では欧州カップ戦の重鎮ディエゴ・シメオネとアトレティコ・マドリーも撃破した。

 もちろん決勝進出を果たせば、33歳はCL史上最年少記録になる。トゥヘル監督も飛ぶ鳥を落とす勢いで評価を高める教え子に対し「ユリアンは試合中でも戦術を変えられるので非常に難しい。アトレティコ戦を見た上で比較しながら試合の準備をするのも難しい。大きな挑戦になる」と警戒心をあらわにした。

 準々決勝のアトレティコ戦を終えた後、ナーゲルスマン監督は「(ムバッペとネイマールのような)相手選手たちを単独では守れないような状況が起こるだろう。アタランタはPSGに対して1対1になるような(マークの)関係を作ろうとしていたのはわかったが、簡単ではなかった。中盤からも相手が押し寄せてくるんだ」とPSGの選手たち個々の能力の高さと危険性を強く認識していた。勝利した瞬間から、次の試合で選手たちにどんなプランを授けるか考えを巡らせていただろう。

 他方で、33歳の青年監督は選手たちから厚い信頼を勝ち得ている。アトレティコ戦で決勝ゴールを挙げたタイラー・アダムスは「ナーゲルスマンのアイディアは素晴らしい。アトレティコ相手に彼がどのように試合をコントロールし、様々なシステムを切り替えて(相手に)問題を引き起こしたか見ただろう? 彼は(僕たちの)限界を押し広げてくれる存在であり、リスクをとることを恐れていない。僕たちのような若いチームは恐れ知らずのメンタリティを持っているし、恐れ知らずの監督がいれば(勝つのは)ずっと簡単になるんだ」と指揮官に心酔しているようだ。

 果たして策士ナーゲルスマンは、強力なタレントを揃えたPSGに対してどんな戦術プランを用意してくるだろうか。そして、恩師を超えて欧州最強の座をかけた一戦への挑戦権をつかみ取ることができるのか、あるいはトゥヘルが師匠としての貫禄で立ちはだかるか。

 大国ドイツが輩出した2人の戦術家がピッチ上の22人で表現する緻密な駆け引きに注目だ。