ビジャレアルは2戦連続の不運

 ラ・リーガ第11節、レアル・ソシエダ対ビジャレアルが現地時間30日に行われ、1-1のドローに終わっている。日本代表MFの久保建英は74分から出場。得点やアシストはなかったが、動き自体は決して悪くなかった。しかし、この試合でスタメン落ちしたことの意味は決して小さくないはずだ。(文:小澤祐作)

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 ビジャレアルは運に見放されているのだろうか。リーグ戦では2試合連続でレフェリーの不可解な判定により、失点を喫している。

 前節のレアル・マドリード戦における悲劇は開始わずか2分に起きた。ダニエル・カルバハルがルーカス・バスケスにパスを出すと、数秒後に副審がフラッグを上げる。それを確認したビジャレアルの選手たちは動きを止めたが、なぜか副審はすぐに旗を下げた。結局プレーはそのまま続き、最後はゴール前に飛び込んだマリアーノ・ディアスが得点を奪った。

 副審はL・バスケスにパスが出た時点でオフサイドと判断したようだが、それが間違っていると思ったのかすぐに旗を下げてしまった。しかし、この行為は選手を困惑させる「ミス」と言わざるを得ない。結局ビジャレアルは後半に追いつき勝ち点1を得たが、実に不運だった。

 そして現地時間29日に行われたレアル・ソシエダ戦。ここでもビジャレアルは審判の誤ったジャッジにより、「勝利」の二文字を奪われてしまったのである。

 問題が起きたのは1点リードのまま迎えた31分。ビジャレアルは自陣ボックス内でミケル・メリーノからアリツ・エルストンドにパスを繋がれヘディングシュートを許すと、ボールはゴールラインを割る。これを見た主審はソシエダのコーナーキックを指示。しかし、シュートはビジャレアルの選手に当たっていない。当然、守備側は抗議するが、判定は変わることがなかった。

 そして、このCKの流れでビジャレアルはパウ・トーレスがファウルしPKを献上。これもかなり厳しい判定だったようにも思うが、ここでも判定は覆らず、ミケル・オヤルサバルに同点ゴールを許している。

 ウナイ・エメリ監督は試合後「今日はレフェリーが気に入らなかった」と判定に対し苦言を呈した。最終的に「しかし、これもゲームの一部」としたが、内容自体は悪くないだけに2戦連続でこのようなことが起きるのは気の毒だ。

 ただ、エメリ監督も話した通りソシエダ戦のドローは「公平な結果」だったと言える。お互いに攻守の切り替えが素早く、それぞれのエース(ソシエダ:オヤルサバル、ビジャレアル:ジェラール・モレノ)を中心とした攻めも非常に迫力があった。これぞ上位対決! といった90分間になったと言えるだろう。

モイ・ゴメス不在でも久保は…

 そんな好ゲームとなったソシエダ戦で、日本代表MFの久保建英はまたしてもベンチからのスタートだった。しかし、この日はいつもより早い74分に出番が回ってきた。ポジションは、ビジャレアル加入後の“メイン”となっている左サイドだ。

 久保はピッチに入ると同時に積極的な動きでアピールを試みた。味方がボールを持てば効果的なランニングでスペースを突き、スタジアムに響き渡るような高い声でボールを呼び込む。何度か「パスが通れば」というシーンを作り出していた。

 そして課題となっている守備面でも貢献。81分には懸命なプレスバックをみせ自陣で相手のパスミスを拾い、ボールをキープしてファウルを誘発。まさにチームを助ける好プレーだった。

 流れの中で右サイドにも回り、同じく途中出場のサムエル・チュクウェゼとの連係で崩しの糸口を探るシーンもあった久保。結果的に約20分間のプレーで得点やアシストもなく、攻撃の流れを大きく変えるには至らなかったためインパクトという意味では確かに欠けていたが、全体的な動きは決して悪くなかった。

 しかし、この試合では厳しい現実を突きつけられたのも事実だ。

 ビジャレアルはこの日、左サイドのファーストチョイスであるモイ・ゴメスが負傷のため不在だった。しかし、エメリ監督がその左サイドに起用したのは久保ではなく、本来サイドバックのアルフォンソ・ペドラサだったのだ。

 もちろん、これはソシエダという相手を前により「守備を重視」しての起用だったと考えるのが妥当だ。久保の序列はM・ゴメスを下回っていることは明らかだが、その彼が不在の中でも出番が回ってこないのは、かなり難しい状況だと言える。

 エメリ監督は試合後に「モイがいない中で、リズム感のあるペドラサ(の起用)を好んだ。若い選手もいたが、もっと経験を積んで成熟した方がいいと思った」と話している。「若い選手」の中には当然ながら久保も含まれているだろう。

 左サイドへの適応と目に見える結果、そして守備面含めた成熟。久保の宿題は多い。その中でもリーグ戦での出番は限られているので、コツコツと色々なものを積み重ねていくしかない。たとえ5分間の出場でもだ。今の久保にはその道しか残されていない。

 最も信頼を掴む近道になり得るのはやはりヨーロッパリーグ(EL)だが、この先決勝トーナメントに進むにつれ相手のレベルが上がってくれば、再びソシエダ戦のようなスタメンが組まれる回数が増えると考えてもおかしくはない。出番が回ってくると予想されるグループリーグは残り2試合だが、ここでの結果がレフティーの生命線になると言ってもいいのではないか。

(文:小澤祐作)