20位:PSG生え抜きのレフティー

 リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。それをもとにしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。

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DF:プレスネル・キンペンベ(フランス代表/パリ・サンジェルマン)
生年月日:1995年8月13日(25歳)
市場価格:4000万ユーロ(約48億円)
19/20リーグ戦成績:16試合出場/0得点0アシスト

 パリ・サンジェルマン(PSG)の下部組織出身で、2014年に19歳でトップチームデビューを果たした。当初はマルキーニョスとチアゴ・シウバのブラジル人コンビによる牙城を崩せずにいたが、彼らから多くのものを吸収しながら着実に成長。T・シウバが退団したこともあり、今ではフランス王者において欠かせぬ存在となっている。

 プレスネル・キンペンベの特長として挙げられるのはアスリート能力の高さだ。相手の大柄な選手にぶつかられても簡単には倒れない「フィジカル」の強さを誇っており、そのパワーと跳躍力を活かして「空中戦」でも存在感を示す。また、非凡な「スピード」も持ち合わせているので、快速自慢のアタッカーにまんまと振り切られることが少ない。

 以前までは失点に直結しかねない凡ミスも目立っていたキンペンベだが、現在は足元の技術や判断力が向上したことで、ビルドアップ時などの安定感を手に入れている。昨季のチャンピオンズリーグ(CL)で披露したパフォーマンスが見事だったように、大舞台でのプレッシャーにも勝てるようになった印象だ。もちろんまだ完璧なレベルには達していないが、より穴の少ないDFになりつつあるのは確かだろう。

 改善点を挙げるとすれば冷静さという部分だろうか。とくにチームとして劣勢な状況に置かれると、どうしても焦りからかやや荒っぽいプレーに走ってしまうことがある。PSG、そしてフランス代表のこれからを担える存在なだけに、このあたりの成長は今後に期待だ。

19位:11年ぶりの歓喜に貢献

DF:ステファン・デ・フライ(オランダ代表/インテル)
生年月日:1992年2月5日(29歳)
市場価格:5500万ユーロ(約66億円)
19/20リーグ戦成績:34試合出場/4得点3アシスト

 アントニオ・コンテ監督率いるインテルは今季、ユベントスやミランといったライバルを退け11年ぶりにセリエAの頂点に立った。そんな同クラブをDFリーダーとして支えたのが、オランダ代表のステファン・デ・フライ。セリエA屈指のセンターバックとも呼び声高い同選手がいなければ、インテルが歓喜を手にすることはできなかっただろう。

 昨季のセリエA最優秀DFに選出されたデ・フライは、現代のCBに求められる足元の技術を高いレベルで備えている。相手に鋭いプレッシャーを与えられてもボールコントロールが乱れることは少なく、左右両足から繰り出される「パス」はとにかく正確。1本のロングフィードからチャンスを創出することも珍しくない。また、時折見せる縦への推進力も見事だ。

 もちろん対人戦の強さも抜群。とくに「空中戦」のパワーは攻守において相手の大きな脅威となっている。また「僕の強みはテクニックと集中力、そしてポジショニングだ」と本人が話す通り、常に良い位置でディフェンス出来ているというのがデ・フライの強みの一つ。相手FWに危険なスペースを与え、自由にプレーさせるシーンは目立っていない。

 他の選手と比較すると「スピード」が劣るのは事実。ただ意外にも機動力に長けており、最終ラインを果敢に飛び出してピンチを未然に防いでしまうことが多いので、大きなウィークポイントにはなっていない。オランダ代表のCBといえばフィルジル・ファン・ダイクとマタイス・デ・リフトの存在が目立つが、デ・フライもまた、完成度の高いDFと言えるだろう。

18位:ドイツ王者を長く支えた男

DF:ジェローム・ボアテング(元ドイツ代表/バイエルン・ミュンヘン)
生年月日:1988年9月3日(32歳)
市場価格:1000万ユーロ(約12億円)
19/20リーグ戦成績:24試合出場/0得点0アシスト

 2011年にバイエルン・ミュンヘンに加入して以降、同クラブ一筋でプレー。チャンピオンズリーグ(CL)を筆頭に、数多くのタイトルをチームにもたらしてきた。そんなジェローム・ボアテングは、2020/21シーズンをもって10年間過ごしたバイエルンを退団することが決定。新天地候補には、元バイエルン指揮官ニコ・コバチが率いるモナコなどの名が出ている。

 今夏の去就に注目が集まるボアテングは、身長190cm・体重94kgという申し分ない体格を誇る。そこから繰り出されるパワーは圧倒的で、「フィジカル」の数値は最高評価の「88」となっている。また、ガーナ人の父親を持つ同選手は身体能力が抜群に高く、非凡なジャンプ力と長い足を駆使して難しいボールをいとも簡単にクリアしてしまうことを可能としている。

 大柄な体格からは想像できないような足元の柔らかさを持つのもボアテングの強みだ。ビルドアップへの参加をまったく苦にしておらず、長いボールで快速アタッカーを活かすプレーも決して少なくない。このあたりは、過去にバイエルンを率いたジョゼップ・グアルディオラ監督に訓練された影響が大きいと言え、32歳となった現在もまったく錆びついていない。

 と、攻守において非凡なスキルを持つボアテングだが、時に信じられないようなミスを犯すことがあるなど好不調の波が激しい点は否めず、安定感という意味では他のプレーヤーにやや劣る。怪我が決して少なくないあたりもウィークポイントと言えるだろう。

17位:キャリア最高の時を過ごす英国代表戦士

DF:ジョン・ストーンズ(イングランド代表/マンチェスター・シティ)
生年月日:1994年5月28日(26歳)
市場価格:3000万ユーロ(約36億円)
19/20リーグ戦成績:16試合出場/0得点0アシスト

 近年は負傷離脱が多い影響でパフォーマンスレベルがなかなか上がらず、ベンチを温める機会も増加。もはや大きな戦力にはなれないと思われていた。しかし、今季はそんな予想を良い意味で裏切るかの如く躍動。新加入ルベン・ディアスとのセンターバックコンビはまさに鉄壁で、再び評価を上昇させている。キャリア最高の時を過ごしていると言ってもいいはずだ。

 ジョン・ストーンズ最大の魅力はやはりビルドアップ能力の高さと言えるだろう。足元の「テクニック」に優れているためボールの置き所が非常に良く、視野の広さを活かして長短問わず正確な「パス」を最終ラインからどんどん出してくる。ボールポゼッションを基本とするジョゼップ・グアルディオラ監督率いるチームにおいて、ストーンズのこうしたスキルは欠かせないものとなっている。

 圧倒的な「フィジカル」を誇るわけではないが対人戦に弱いわけでもない。「スピード」も水準以上のものが備わっており、とくにカバーリングに入る速さは抜群だ。また、以前まではマークを外して相手に決定的な仕事を与えることも少なくなかったが、今季は簡単にボールから目を離し振り切られる場面が減った印象を受ける。このあたりは、高いリーダーシップを誇る相棒ルベン・ディアスの存在が大きいとみてもいいが、ストーンズ自身の守備意識の向上が現れている結果とも言えそうだ。

「空中戦」も得意で、失点を招いてしまうような大きなミスの頻度も以前と比べ格段に減った。怪我がちな点に若干不安を残すとはいえ、このままいけばストーンズは間違いなく世界最高のセンターバックとなるだろう。

16位:プレミアリーグ初挑戦で輝く36歳

DF:チアゴ・シウバ(ブラジル代表/チェルシー)
生年月日:1984年9月22日(36歳)
市場価格:350万ユーロ(約4.2億円)
19/20リーグ戦成績:21試合出場/0得点0アシスト(パリ・サンジェルマン)

 昨年夏に8年間過ごしたパリ・サンジェルマン(PSG)を退団し、30代後半にしてプレミアリーグ初挑戦を決断した。怪我によりスタートダッシュにこそ失敗したものの、その後はチェルシー守備陣のリーダーとなり、最終ラインを統率。指揮官がフランク・ランパードからトーマス・トゥヘルに代わっても信頼の高さは変わらず、非凡なパフォーマンスを示している。

 フィルジル・ファン・ダイクを筆頭に、現代を代表するセンターバックはほとんどが身長190cm超え、あるいは180cm後半となっているが、チアゴ・シウバの身長は183cm。他のCBと比較すると小柄な部類に入る。しかし、南米出身の同選手には抜群の身体能力が備わっており、「フィジカル」や「空中戦」などで簡単に負けることが少ない。これは見事だ。

 ただ、T・シウバ最大の魅力は単純な強さではなく、クレバーな守備にある。カバーリングの上手さは超一流で、味方がスペースを突かれても第2の壁となって攻撃の芽を摘む。読みの鋭さやマーキングもまさにお手本のようで、相手ストライカーに自由を与えるような隙をほとんどみせることがない。コンビを組む選手からしても、これほど安心感を抱ける相棒はいないのではないだろうか。

 36歳となった現在もトップレベル、それも世界最高峰のプレミアリーグでプレーするT・シウバ。細かな怪我を繰り返すなどさすがにフル稼働が難しくなっているとはいえ、身長によるハンデを感じさせない「守備力」の高さはやはり今なおワールドクラスと言っても不思議ではないだろう。