ただ単に相手のサッカーに合わせていただけ?

 “異端のアナリスト”庄司悟は6/7発売の『フットボール批評issue32』で、第10節までの数値をもとにJ2全22クラブのコンセプトを「一枚の絵」にした。今回は批評32の続編として、チョウ・キジェ監督が率いる京都サンガF.C.が実践する究極の「エコ・フットボール」の正体を全3回で暴いてみせた。今回は第2回。(文:庄司悟)

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 ここでJ2第17節までの京都の正味時間とパス成功率を表したグラフ(図2)を見ていただきたい。実は0対1で敗れた第5節の秋田戦をきっかけに京都の正味時間は増加傾向にあった。この一気の上昇度を見て、筆者は秋田の土俵で負けた悔しさから京都は、意図的に正味時間を増やしていったのではないかと考えていた。

 と、思っていたら、第11節の愛媛FC戦以降、正味時間は減少していっている。はたしてこれは何を意味するのだろうか。

 第6節以降の相手はFC町田ゼルビア、ギラヴァンツ北九州、東京ヴェルディ、レノファ山口FC……そう、批評32でも指摘したようにボール支配を追求する「アルビレックス新潟型」を“表向き” (詳細は批評32に)には目指す面々だった。つまり、京都の正味時間が長かった時期は、ただ単に相手のサッカーに合わせていただけ、だったと言っていいかもしれない。「上辺だけの新潟型」にボールを持たせても、さして怖くはないと言わんばかりに……。

 ならば、チョウ監督は自身がかつて率いた湘南ベルマーレの路線に京都を誘導しつつあるということなのだろうか。しかしながら、チョウ監督が秋田と栃木の仲間に入ろうとしているようには思えない。もちろん、今から上位組が鎮座する右上のゾーンに行くことなどサラサラ考えていないだろう。では、チョウ監督の方向性とは一体?

(文:庄司悟)

庄司悟(しょうじ・さとる)
1952年1月20日生まれ。1974年の西ドイツW杯を現地で観戦し、1975年に渡独。ケルン体育大学サッカー専門科を経て、ドイツのデータ配信会社『IMPIRE』(現在はSportec Solutionsに社名を変更し、ブンデスリーガ公式データ、VARを担当)と提携。ゴールラインテクノロジー、トラッキングシステム、GPSの技術をもとに分析活動を開始