「片膝をつくのは非常にいいね」

なでしこジャパン(日本女子代表)は24日、東京五輪(東京オリンピック)女子サッカー・グループステージ第2節でイギリス女子代表と対戦し、0-1で敗れている。この試合中、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。(語り手:ショーン・キャロル)
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――本日もよろしくお願いします。第1戦から5人が変更となり、山下杏也加、宮川麻都、林穂之香、杉田妃和、田中美南が先発に名を連ねました。岩渕真奈がベンチスタートとなったのは少し驚きですが、コンディションの問題があったのかもしれません。

「高倉麻子監督は非常に積極的(な采配)だね。岩渕は驚きだけど、この試合は苦戦すると思うので、インパクトを残せる選手をベンチに置いておくということも考えられる」

――今日はショーンさんの出身地であるイギリスとの対戦です。

「正直に言えば日本代表の方がイギリス代表よりは身近ですね。8年に1回しか集まらないので、『本当のチームじゃない』という考えもあるし」

「試合前に片膝をつくのは非常にいいですね。日本もやってる」

――イギリスは初戦に続いてやっていますが、この試合ではなでしこジャパンの11人もやってますね。

「するかどうか気になっていました」

初戦は硬さが見られたが…

――初戦の立ち上がりは硬さが見られましたが、今日はどうでしょうか。

「両チームとも立ち上がりは気を付けているみたいですね。ザンビアと中国が引き分けたので、グループを突破するためには勝ち点3でも十分になるかもしれない」

「イギリスは既に勝ち点3で、日本も絶対に勝たなければならないわけではないとすると、立ち上がりでリスクをかける必要はあまりないですね」

――3位ということも考えながら戦う必要も出てくるということですね。

「超過密スケジュールも頭に入れないといけない。グループ突破は自力でできるので、選手のコンディションも守らないといけない」

――おっしゃる通り、両チームとも慎重なプレーが多く、スコアは動きません。

「ボール支配率はイギリスの方が高いですね。なでしこはこの状況に慣れていない」

――ただ、そこまで攻め込まれているようにも見えません。

「イギリスは最悪引き分けでもいいので、落ち着いてボールを回している」

――なでしこジャパンは少しずつゴールに近づいていますね。

「少しずつ主導権を握っているね」

――初先発の杉田は攻守に輝いていますね。

「足元は巧いし、周りを活かす意識などのゲームセンスは素晴らしい。どんなチームでも欲しいと思う選手だと思います」

「それが勝負を決めるかもね」

――前半は0-0というスコアで終えました。

「お互い決定機はなかったね。枠内シュートは1本ずつで、ポゼッションもほぼ五分五分。両チームともペナルティエリアまであまりいっていないね」

――やはり勝ち点1でもいいという意識が垣間見えますね。

「イギリスはそうだと思います。日本は初戦で引き分けているので、このアプローチだと少し危ないかな。チリはタフな相手で、失うものがないので、簡単に勝ち点3を得られるわけではないから。後半はよりオープンな展開になると予想してます」

――なでしこジャパンがゴールを目指すためには何が必要でしょうか。

「攻めるときに人数をかけないといけないね。リスクも伴うけど」

――交代メンバーの役割も重要ですね。

「それが勝負を決めるかもね。岩渕や遠藤純、菅澤優衣香というオプションがあります」

――後半が始まりました。一転してイギリスが積極的に攻めてきます。

「立ち上がりはそうなると思うけど、点を取れなければ少しずつ引いていくかもしれない」

――先ほど言っていたようにオープンな展開になりつつありますね。

「たまには私のコメントも当たります(笑)」

「今までの日本はゴールの匂いがない」

――55分に塩越柚歩を下げて籾木結花を入れました。タイプの違う選手が右サイドに入りましたね。

「高倉監督はもう少し攻撃の意識を高めたいのかな」

――しかし、なかなか攻める時間を作れません。

「イギリスはしっかりとオーガナイズされていて、堅い守備をしているね。日本はボールを奪ってもすぐに奪い返される」

――三浦成美と遠藤純が入ります。

「後半は中盤の攻防でイギリスが上回っているので、三浦が必要だね。遠藤は攻撃面に期待したいです」

――しかし、74分に失点を喫してしまいました。クロスをニアでエレン・ホワイトが合わせ、無人のゴールへと吸い込まれました。

「山下は少しミスですね。今までの日本はゴールの匂いがないけど、残り15分で見つけないといけない」

――ボールをキャッチした山下を妨害したホワイトを、山下が倒してしまいましたが、山下だけにイエローカードが提示されました。

「なんでホワイトにもイエローを出さないの? 2人ともイエローがふさわしい」

「日本は普通すぎたね」

――残り約10分というところで岩渕が入ります。

「10分で何ができるかな」

――時間はあまり残されていませんね。

「イギリスは8割でプレーしているのに楽に守備ができています」

――スコアは動かず、なでしこジャパンは第2戦を落としました。

「イギリスは強かったし、日本は普通すぎたね。これまでの2試合ではあまりスパークがない。普通は『いつも通り』じゃなくて『特別じゃない』という意味ね」

――スパークというのは……。

「よりリスクを取らないといけないし、攻撃に人数をかけないといけない。これまでサイドバックがラストサードに上がれていないですね。攻撃のビルドアップも少し遅い。日本は技術のある選手がいるので、もっと速い攻撃が欲しい」

――敗れましたが、グループリーグ突破の可能性は第3戦につながりました。

「その通りですね。カナダもイギリスもメダル候補なので難しい組み合わせですが、チリ戦ではもう少し激しい、積極的なサッカーを見たいです」

――第3戦までは中2日。次回もよろしくお願いします!

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

【了】