ロシアワールドカップ準優勝メンバー

 欧州では2020/21シーズンが閉幕し、夏の移籍市場が開幕。各クラブや選手は来る新シーズンに向け、着々と準備を進めている。その中で、1年以上、あるいは昨季限りで契約満了を迎え所属クラブがない状態となっている選手は多い。いわゆる“フリー”の男たちは移籍金がかからないため、もちろん日本のチームも触手を伸ばしやすくなる。そこで今回は、Jリーグのクラブも獲得が可能な5人のフリー選手をピックアップした。(市場価値は『transfermarkt』を参照)。

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FW:マリオ・マンジュキッチ(元クロアチア代表)
生年月日:1986年5月21日(35歳)
市場価値:80万ユーロ(約1億円)
最終所属:ミラン(イタリア)
20/21リーグ戦成績:10試合出場/0得点0アシスト

 母国クロアチアのクラブで着実に成長を遂げ、2010年にヴォルフスブルクへ移籍して欧州5大リーグ初挑戦。その後、バイエルン・ミュンヘン、アトレティコ・マドリード、ユベントスと名だたるビッグクラブでのプレーを経験した。とくにユベントスでは、マッシミリアーノ・アッレグリ監督の下で重宝され、チャンピオンズリーグ(CL)準優勝やセリエA制覇などに大きく貢献。2016/17シーズンのCL決勝で決めたオーバーヘッド弾は、今なお多くの人の記憶に残っていることだろう。

 マウリツィオ・サッリがユベントスの新指揮官に就任した2019/20シーズンに出番を失い、2019年12月にカタールのアル・ドゥハイルへ移籍。その7ヶ月後に退団しそこから半年間フリーとなったが、今年1月にミランからオファーが届き欧州再挑戦を果たしている。しかし、イタリアの名門ではコンディションがなかなか上がらず、ピッチに立つ機会は限られた。結局、加入からわずか3ヶ月後の4月に退団を発表し、現在はフリーの身となっている。

 最近ではインドのモフン・バガンACというクラブが獲得に興味を抱いており、選手本人もインドでのプレーを楽しみにしている…との話が出ていたが、これはどうやら単なる噂に過ぎなかったようで、具体的な動きはなかった。現時点で去就はまったく不透明となっているが、2018年ロシアワールドカップ準優勝メンバーの一人であるFWは、どのような決断をするのか。

あの元逸材がついに…

FW:ボージャン・クルキッチ(元スペイン代表)
生年月日:1990年8月28日(30歳)
市場価値:80万ユーロ(約1億円)
最終所属:CFモントリオール(カナダ)
2020リーグ戦成績:14試合出場/4得点1アシスト

 2006年のU-17欧州選手権では15歳ながら得点王を獲得。翌2007年にはU-17ワールドカップでも大活躍し、さらにはバルセロナのトップチーム昇格も掴み取っている。そして、1年目ながらリーガ・エスパニョーラ31試合に出場すると、いきなり二桁得点を達成。当時バルセロナではまだ背番号「19」だった若きリオネル・メッシが世界から大きな注目を浴びていたが、ボージャン・クルキッチもまた、バルセロナの未来を担えるビッグスターになると誰もが疑わなかった。

 しかし、そのプレッシャーの大きさが原因で体調を崩してしまう。その後、治療を受けながら懸命にプレーしたが結果は出ず、世間からの目はどんどん厳しくなり、バルセロナでの居場所も次第になくなった。2011年にはローマへ完全移籍するもインパクトを残せず。その後ミラン、アヤックス、ストーク、マインツ、アラベスと欧州各国でプレーするも安住の地を見つけ出すには至らなかった。

 存在感が完全に薄れてしまったスペインの元逸材は、2019年にMLS(メジャーリーグ・サッカー)のCFモントリオールへ移籍しついに欧州の舞台から離れている。そして2020シーズン終了後に同クラブを退団し、そこから半年間所属クラブがない状態となっている。欧州へ戻るのか、それ以外でプレーするのか、それともスパイクを脱ぐのか…今後のことは本人にしかわからないが、一つ言えるのは、まだ30歳ということ。再び輝ける可能性は低くないはずだ。

30代で輝きを取り戻す

DF:マテュー・ドゥビュシー(元フランス代表)
生年月日:1985年7月28日(36歳)
市場価値:150万ユーロ(約2億円)
最終所属:サンテティエンヌ
20/21リーグ戦成績:26試合出場/2得点1アシスト

 プロデビューの地リールで公式戦300試合以上に出場し、フランス代表として2012年のユーロに出場するなど国内で評価を高めた男は、2013年にニューカッスルへ加入。その1年後、アーセナルへの移籍を掴み取っている。しかし、イングランドの名門では怪我の影響などもあってエクトル・ベジェリンとのレギュラー争いを制すことができず。4シーズンの在籍で公式戦わずか30試合の出場に留まるなど、完全に失敗に終わってしまった。

 しかし、2018年冬に加入したサンテティエンヌでは見事に復活を遂げた。1年目から右サイドバックのファーストチョイスに君臨すると、翌2018/19シーズンにはキャリアハイとなるリーグ戦4得点4アシストを記録。昨季は新キャプテンに就任し、ピッチ内外でチームを牽引している。「彼は私たちのキャプテンであり、日々、若手のお手本となっている」とはサンテティエンヌを率いるクロード・ピュエル監督の言葉だ。

 と、母国で輝きを取り戻していたベテランサイドバックだが、クラブとの契約延長が最終的に合意に至らず、2020/21シーズンをもって退団が決定。現在フリーの身となっている。ただ、現役引退の可能性は低いようで、アラベスとエルチェが興味を示してるとの報道も。自身初のスペイン挑戦を決断するのか、それとも…今後の動向に注目だ。

直近2シーズンでわずか1得点

FW:アンディ・キャロル(元イングランド代表)
生年月日:1989年1月6日(32歳)
市場価値:150万ユーロ(約2億円)
最終所属:ニューカッスル
20/21リーグ戦成績:18試合出場/1得点0アシスト

 ニューカッスルの下部組織出身で、2006年に行われたUEFAカップのパレルモ戦でトップチームデビュー。17歳と300日での欧州コンペティション出場は、クラブ史上最年少記録となっている。その後プレストンへのレンタルを経て主力に定着し、2009/10シーズンはチャンピオンシップ39試合出場で17得点12アシストを記録と爆発。昇格に貢献すると、翌シーズンにはプレミアリーグにおいて開幕2ヶ月で11得点を叩き出すなど、一気に注目の的となった。

 その活躍が認められ、2010/11シーズン途中にリバプールへ移籍。移籍金は当時のイギリス人史上最高額となっていた。ところが、ピッチ内で活躍したのは同時期に加入したルイス・スアレスの方。プライベートでは問題児として知られていた大型FWはブレンダン・ロジャース監督の戦術にフィットすることができず、移籍金に見合う活躍を果たせぬまま2012年夏にウェストハムへレンタル。その後、リバプールでプレーすることは二度となかった。

 ウェストハムでしばらくプレーした後、2019年夏に古巣ニューカッスルに復帰。しかし、負傷離脱を繰り返すなど戦力になれず、2シーズンで公式戦得点はわずか「1」だった。そして今月、スティーブ・ブルース監督が「彼の残りのキャリアが素晴らしいものになることを祈っているよ。この2年間、彼は本当に私の大きな助けになってくれた」と退団を明言。フリーの身となっている。

ガラスの天才

MF:ジャック・ウィルシャー(元イングランド代表)
生年月日:1992年1月1日(29歳)
市場価値:250万ユーロ(約3億円)
最終所属:ボーンマス
20/21リーグ戦成績:14試合出場/1得点1アシスト

 9歳でアーセナルのアカデミーに入団し、クラブ史上最年少となる16歳256日でプレミアリーグデビュー。2010年のチャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16のバルセロナ戦では圧巻のパフォーマンスを披露するなど世界を驚かせ、翌年にはPFA年間最優秀若手選手賞を受賞するなど、華々しいキャリアのスタートを切っている。当時、卓越したパススキルと非凡なテクニックを持ったレフティーの将来が輝かしいものになると確信した人は、決して少なくなかったはずだ。

 しかし、2011/12シーズンに負傷で公式戦全試合を欠場すると、ここから彼のサッカー人生は狂い始める。以降負傷に悩まされ続け、継続してハイパフォーマンスを披露することが難しくなったのだ。当然、試合に多く絡めなければクラブに居続けることはできない。2016年にはボーンマスへレンタル、そして2018年にはウェストハムへフリー移籍し、アーセナルを完全に離れた。

 そのウェストハムを昨年夏に退団し、そこから半年間所属クラブがない状態となっていたが、今年1月にボーンマスへ加入している。しかし、5月にクラブが退団を発表しており、現在は再びフリーの状態となってしまった。まだ29歳で現役を退く可能性は低いはずだが、果たしてどうなるか。日本でもアーセナルの人気は根強いだけに、Jリーグ参戦となれば盛り上がるはずだが…。