5位:マンUの絶対的司令塔

 リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。今回は「パス」にフォーカスしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。

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MF:ブルーノ・フェルナンデス(ポルトガル代表/マンチェスター・ユナイテッド)
生年月日:1994年9月8日(27歳)
市場価格:9000万ユーロ(約108億円)
20/21リーグ戦成績:37試合出場/18得点11アシスト

 イタリアでの武者修行を終え加入した母国の強豪スポルティングCPで王様となり、数々のビッグクラブから注目を集めることになった。そして、2020年冬に名門マンチェスター・ユナイテッドへ移籍。これが自身初のビッグクラブ挑戦ということになったが、合流から間もなくして超ハイパフォーマンスを披露するなど、ここでも一気に王様的存在に。今や世界最高峰のMFとして称賛を浴び続けている。

「パス」が最大の武器だが、1試合における成功率自体はあまり高くない。一部報道によれば、それが原因でユナイテッドは獲得になかなか乗り出せなかったとも言われている。しかし、それでもこの男がパサーと呼ばれるのは、いわゆる“勝負球”が非常に多いからだ。ボールを受ければ必ずと言っていいほど前を向き、狭いコースにも迷わず鋭い縦パスを差し込み味方を活かす。成功率は決して高くないかもしれないが、これを継続するからこそ、彼は多くの決定機を演出することができるのだ。

 このポルトガル代表MFがボールを持つと、必然的に周りの選手のアクションが良くなっているように見える。それは、動けば必ずそこを見つけ「パス」を出してくれるという背番号18に対する絶対的な信頼の表れと捉えてもいいだろう。ユナイテッドがプレミアリーグ王者、そしてチャンピオンズリーグ(CL)王者に返り咲くため、まだまだこの男の力が必要だ。

4位:派手さはないが…

MF:ダニエル・パレホ(スペイン代表/ビジャレアル)
生年月日:1989年4月16日(32歳)
市場価格:1000万ユーロ(約12億円)
20/21リーグ戦成績:36試合出場/3得点5アシスト

 レアル・マドリードの下部組織出身で、2009年にトップチームへ昇格しプレーした経験も持つが、定着するには至らなかった。それでも、2011年に加入したバレンシアで大きく成長。2014/15シーズンからはキャプテンに就任するなど、スペイン国内屈指のMFとなった。そのバレンシアが財政難に陥ったことで昨年夏にビジャレアルへ放出されてしまったが、かつての師であるウナイ・エメリ監督の元、新天地でも欠かせぬピースとして活躍している。

 圧倒的な「スピード」や「ドリブル」などがなく派手さという意味では欠けるが、「パス」スキルに関して世界トップクラスにあるということに疑いの余地は一切ない。長短を自由自在に操って攻撃を組み立てるだけでなく、敵のブロックを一瞬で崩壊してしまうようなキラーパスも涼しい顔で繰り出すことを可能としている。ビジャレアルの攻撃はもはや、この男なしでは成り立たない。

 運動量が豊富で、味方のためにフリーランニングで「パス」コースを作ることもサボらず行う。ボールの出し手として非常に優秀だからこそ、そのような働きもハイクオリティーにできると言えるだろう。32歳のベテランは今後しばらくピッチで輝きを放ち続けるはずだ。

3位:すべてが異次元

FW:リオネル・メッシ(アルゼンチン代表/パリ・サンジェルマン)
生年月日:1987年6月24日(34歳)
市場価格:8000万ユーロ(約96億円)
20/21リーグ戦成績:35試合出場/30得点11アシスト(バルセロナ)

 世界最高の男リオネル・メッシはキャリアのほとんどをバルセロナに捧げ、数々のタイトル獲得に貢献してきた。しかし今夏、ラ・リーガが規定するサラリーキャップに引っかかり、クラブとの新契約にサインできずフリーで退団することに。新天地はかつてのチームメイトであるネイマールやアルゼンチン代表で共にプレーするアンヘル・ディ・マリアらがいるパリ・サンジェルマン(PSG)に決定。フランスでの新たな冒険には当然大きな注目が集まっている。

 異次元の「ドリブル」、「テクニック」、そしてシュートで観る者に衝撃を与え続けてきたメッシだが、もちろん「パス」スキルも特別なものを持っている。精度の高さは当然のこと、相手が足を出してきたタイミングでボールを少し浮かべたり、相手の股下を通したりと意外性も抜群。「ドリブル」同様、この男による「パス」を完璧に読み封じることは高難度ミッションと言えるだろう。

 細かいタッチを繰り返してボールを運びながら周りの選手もしっかりと確認できているため、「ドリブル」から「パス」に至るまでの流れがスムーズ。とくにバルセロナ時代はジョルディ・アルバとの連係が抜群で、背番号18が動き出せばどこからでも精度の高い左足の「パス」を繰り出した。J・アルバにとってメッシは、キャリア最高のパサーだったと言えるはず。PSGでは誰とホットラインを築くか。

2位:狂いのない完璧なパスマシーン

MF:トニ・クロース(ドイツ代表/レアル・マドリード)
生年月日:1990年1月4日(31歳)
市場価格:4000万ユーロ(約48億円)
20/21リーグ戦成績:28試合出場/3得点10アシスト

 ドイツが世界に誇るMFだ。2014年から所属するレアル・マドリードでは加入当初より主力として活躍しており、一時はパフォーマンスレベルの低下を指摘され批判を浴びたが、すぐに限界論を払拭。昨季は2016/17シーズン以来となるラ・リーガ二桁アシスト到達を達成している。今年で31歳とベテランだが、白い巨人において若手にポジションを譲る気はまだまだない。

 トニ・クロース=「パス」とイメージする人は非常に多いだろう。この男は長短を自由自在に使い分け、思い描いた通りの場所へピンポイントでボールを送ることができる。攻撃の組み立てにおいて、これほど頼もしい存在はそういないと言えるだろう。また、クロースのストロングポイントとして挙げられるのは予備動作の正しさである。だからこそ無理なく、冷静に「パス」を散らすことができる。

 元ドイツ代表MFのローター・マテウス氏はクロースの「パス」について「彼のパスやクロスは彼のヘアスタイルのように綺麗で、完璧で正しいよ」とコメントしている。その言葉通り、クロースの「パス」にはまったく狂いがなく、ほぼ毎試合高い成功率を記録している。今後もその繊細な「パス」でマドリーに多くの勝ち点をもたらしてくれるだろう。

1位:理不尽なパサー

MF:ケビン・デ・ブライネ(ベルギー代表/マンチェスター・シティ)
生年月日:1991年6月28日(30歳)
市場価格:1億ユーロ(約120億円)
20/21リーグ戦成績:25試合出場/6得点12アシスト

 パサーランキングの1位に輝いたのはベルギーが世界に誇るMFケビン・デ・ブライネだ。2012年に加入したチェルシーでは不完全燃焼に終わるも、その後ヴォルフスブルクを経てマンチェスター・シティに移籍したことでワールドクラスへと成長。プレミアリーグでのシーズン15アシストは通算3回記録しているが、これを成し遂げたのはこの男一人のみ。サッカー界に名を残すことは間違いない。

 デ・ブライネの「パス」はまさに天下一品だ。「そこを通すのか!?」と観る者が驚くようなスルーパスをいとも簡単に繰り出して敵ブロックを破壊し、チャンスを多く作り出す。また、右足から放たれるDFとGKの間を貫く高速クロスもベルギー代表MFの超得意技。相手からすると触ればオウンゴールになりかねず、触らなければ押し込まれるという、なんとも理不尽なボールである。これをデ・ブライネは1試合で何度も繰り出すのだから恐ろしい。

 とくに崩しの面で絶大な存在感を発揮するデ・ブライネの「パス」スキルにはサポーターはもちろん、同じ土俵で戦うプロ選手も称賛を惜しまない。今夏シティ行きが噂されたイングランド代表FWハリー・ケインは「彼を見ると本当に特別な選手だと思う。シティで彼が出すボールのいくつかは、正直なところストライカーの夢だよ」と現地メディアに話している。ベルギー人MFは現在30歳。まだまだその右足から特別なボールが出てくるだろう。