サッカー日本代表は1日、カタールワールドカップのグループステージ最終戦でスペイン代表と対戦する。

 ここまで1勝1敗の日本代表には、まだ自力での決勝トーナメント進出の可能性が残っている。スペイン代表を打ち破れば、文句なしでグループステージを突破を決められる状況だ。初戦のドイツ代表戦のような番狂わせをもう一度起こしたい。

 MF遠藤航やDF酒井宏樹が負傷の影響で大一番を欠場する見込みとなった中で、嬉しいニュースもある。それは先月23日のドイツ代表戦後から右太もも裏の違和感を訴えて別メニュー調整が続いていたDF冨安健洋の復帰だ。

 センターバックを中心にディフェンスラインの全てのポジションでプレーできる24歳は、スペイン代表戦の2日前にあたる先月29日から全体練習に合流。前日練習後に取材に応じると「もう大丈夫です。問題ないです」と語り、復活をアピールした。

 その表情はすっきりとしていて、極めて難しい展開が予想される試合に向かうにもかかわらず清々しさすら感じられた。冨安はスペイン代表戦を「決勝トーナメント1回戦のつもりでやれればいい」と語り、大一番へ固い決意を口にした。

 同様の内容をより噛み砕いて話していたのは、GK権田修一である。先月30日に行われた公式記者会見に出席した守護神は、スペイン代表戦に臨むにあたって必要な心構えについて次のように述べた。

「決勝トーナメントが1試合増えたような感覚、ベスト32からベスト16への戦いが明日の試合になるという気持ちで臨みたいと思います。ベスト16(の対戦国)はまだわからないですけど、その試合も当然勝たなければいけない。僕らがベスト16に行くために明日のスペイン代表戦にも勝たなければいけない。上に行くためにどこが相手だったとしても勝っていかないと、僕らが目指している『新しい景色』、ベスト8以上というのは成し遂げられない」

 勝てばグループステージ突破というわかりやすい条件だからこそ、一発勝負の決勝トーナメントと同じ感覚を持って挑む。それは「目の前の一戦に最善の準備をして全力を尽くす」という、森保一監督が常に選手たちに求めてきた意識ともリンクする。

 優勝候補をいかに封じるか。「クオリティーも持っていて、サッカーを知っている。子どもの頃からサッカーの本質や構造をしっかり知っている選手たちが多い」スペイン代表に対し、冨安は負傷中の酒井が不在な右サイドバックでのプレーを具体的にイメージしているようだった。

「僕が右サイドバックで出ると仮定するのであれば」という前置きをしつつも、プレミアリーグの強豪アーセナルに所属する冨安は、スペイン代表の左ウィングとどのように対峙すべきか、攻守両面で相手をいかに上回っていくかという点に言及した。

「(スペイン代表の左サイドでは)ここ2試合は(ダニ・)オルモ選手が出て、よりコンビネーションを使ってくる。それは僕たちの右サイドだけではないですけど、(周りと)コミュニケーションを取って、(ボールに寄せに)行くところと行かないところをはっきりすること。

いつも言ってますけど、奪ったボールをいかにマイボールにできるかも大事になってくる。(日本代表の)右ウィングで誰が出るか分かんないですけど、その選手を後ろからしっかりサポートして、前の選手が生きるようにプレーできればいいなと思います。仮の話ですけど(笑)」

 今大会の日本代表は4-2-3-1だけでなく、試合展開に応じて3-4-2-1へのシステム変更も行なっている。スペイン代表戦でも試合途中から、あるいは試合開始から3バックの採用があるかもしれない。そうなった場合、サイドバックにもセンターバックにも対応できる冨安は戦術上のキーマンになりうる。

 右太もも裏の違和感が再発する懸念はあるが、決勝トーナメント進出が懸かったスペイン代表戦はリスクを冒すべきタイミングだろう。日本代表がより高いステージに上がるために、今こそ冨安の力が必要だ。

(取材・文:舩木渉)