最高峰の舞台で戦うサッカー選手は高額な年俸を受け取っているが、必ずしも額面通りの働きをピッチ上で見せているとは限らない。今回はレアル・マドリードの選手で、現在のサラリーに見合わない選手をピックアップして紹介する。(年俸は『capology』、リーグ戦成績は『transfermarkt』を参照)

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●DF:ルーカス・バスケス
年俸:938万ユーロ(約13億1320万円)
今季リーグ戦成績:10試合0得点1アシスト

 レアル・マドリードの下部組織で育ったルーカス・バスケスは、エスパニョールへのレンタルを経て2015年に復帰すると、常にチームのために貢献し続けた。だが、最近はその存在感が薄れている。

 もともとFWだったバスケスは、レアルというスター軍団の中で突出した武器はない。それでも、複数ポジションを器用にこなす万能さや豊富な運動量を買われて、便利屋として貴重な選手になった。近年は右サイドバックが定位置となっており、昨季はリーグ戦23試合に出場。4得点2アシストを記録している。

 しかし、今季はダニエル・カルバハルが安定感のあるプレーを続けており、バスケスはリーグ戦10試合に出場しているものの、出場時間はわずか168分間。完全に控えという立ち位置になった。

 レアルで公式戦324試合に出場してきたバスケスは、間違いなくクラブの功労者だが、32歳という年齢も気になるところ。スペインメディアの『エル・ナシオナル』は「2人の右サイドバックがともに30代。カルロ・アンチェロッティ監督はバスケスを信頼しておらず、カルバハルと先発を争える若いサイドバックの獲得を望んでいる」と伝えていた。

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●FW:ブライム・ディアス
年俸:729万ユーロ(約10億2060万円)
今季リーグ戦成績:9試合1得点0アシスト

 マンチェスター・シティの下部組織で育ったブライム・ディアスは、2019年に移籍金1700万ユーロ(約23億8000万円)でレアル・マドリードへ移籍。2020年夏から3シーズンにわたってミランにレンタルされていた。

 2022/23シーズンはセリエAで6得点7アシストを記録し、イタリアでの成長が認められて今年夏にレアル・マドリードに復帰した。だが、ここまでラ・リーガでは9試合に出場して1得点。先発出場は2回のみとなっており、729万ユーロ(約10億2060万円)の年俸に見合う働きをしているとは言いにくい現状だ。

 レアルに復帰する時点で控えになることはある程度予想できたディアスだが、本職のトップ下ではジュード・ベリンガムが大活躍中で付け入る隙がない。左右のウイングや偽9番もこなせるため出場機会はあるものの、レギュラー陣をおびやかすようなプレーはできていない。

 11月26日の第14節カディス戦では、先発出場が予定されていたものの、直前に胃腸のトラブルで外れると、代わりに出場したロドリゴが2得点を決めた。アピールの絶好機を逃してしまい、運にも見放されているようだ。

●DF:フェルラン・メンディ
年俸:1042万ユーロ(約14億5880万円)
今季リーグ戦成績:7試合0得点0アシスト

 2019年夏にリヨンから4800万ユーロ(約67億2000万円)の移籍金でレアル・マドリードにやってきたフェルラン・メンディは、まだ年俸分の働きをしていない。

 ピッチに立てば安定した守備で貢献しているメンディだが、毎シーズンのように離脱する時期がある。筋肉系のトラブルを繰り返しており、2022/23シーズンはシーズン後半戦のほとんどを欠場した。

 稼働率の高さが疑問視されたメンディは、今年夏に放出の噂が出ながらも残留。ただ、今季も負傷からのスタートで、第5節までプレーしていない。

 そのケガが回復し、現在はコンスタントにプレーしている。ただ、いつまた離脱するのかという不安は付きまとっており、クラブとしても計算しにくい様子。スペインメディア『Relevo』は11月2日、「メンディは来季のレアルの構想に含まれていない」「オファーがあれば1月に放出する可能性もある」と伝えていた。

●MF:ダニ・セバージョス
年俸:1042万ユーロ(約14億5880万円)
今季リーグ戦成績:4試合0得点0アシスト

 ダニ・セバージョスは、2017年にベティスからレアル・マドリードへ移籍。2019/20から2シーズンはアーセナルへのレンタルを経験した。

 レアル復帰1年目の2021/22シーズンは、ケガで出遅れてラ・リーガでの出場は11試合どまりだったが、22/23シーズンは大幅に出番を増やしてリーグ戦30試合に出場している。それでも先発出場は19回と微妙な立場で、契約満了となる今年夏のタイミングで移籍が噂になっていた。

 それでも7月にセバージョスは契約延長。レアルでポジション争いを続けることを決断した。ただ、負傷で出遅れると、復帰したあとにフィジカルの問題で再び離脱となり、今季の出場はラ・リーガ4試合とUEFAチャンピオンズリーグ(CL)1試合のみ。全て途中出場という状況だ。

 レアルとしては、ルカ・モドリッチとトニ・クロースが去ったあとを見据えての契約延長かもしれない。それでも、今季ここまでの出場が100分に満たない選手の年俸が1042万ユーロ(約14億5880万円)と考えると、かなりの高額と言わざるを得ないだろう。

●MF:トニ・クロース
年俸:2438万ユーロ(約34億1320万円)
今季リーグ戦成績:14試合1得点4アシスト

 レアル・マドリード在籍10年目のトニ・クロースは、今年6月にクラブとの契約を更新して残留し、多くのファンを喜ばせた。若手の押し上げが激しい現在のレアル・マドリードで活躍を続けており、ゲームを組み立て、チームに落ち着きをもたらしている。

 ただ、これまでの功績に疑いの余地はないとしても、チーム最高額となる2438万ユーロ(約34億1320万円)の年俸は、世界的な名門であっても大きな負担だろう。

 クロースの現在の年俸は、バルセロナのフレンキー・デ・ヨングに次いで、ラ・リーガ全体で2位の金額。『trasnfermarkt』におけるクロースの市場価値は、2018年12月に8000万ユーロ(約112億円)だったが、33歳となった現在は1500万ユーロ(約21億円)まで減少している。今季のラ・リーガは出場した14試合のうち先発が8回で、以前に比べると出番が減っているのは確かで、2018/19シーズンから同じサラリーというのは気になるところかもしれない。

 このサラリーはクラブからの敬意の表れだとしても、周囲からは豪華すぎるととらえられても不思議ではない。

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