相手のことを気遣ってした行動が裏目に出てしまった、なんて経験はありませんか?
「そんなつもりなかったのに……」と落ち込むこともあるでしょう。
これは、筆者の知人に聞いた、マナーに関するエピソードです。
ずっと夢だった仕事に就けた
私は、20代の会社員。
就職活動に励んだことが功を奏し、希望していた大手企業の営業所に勤務できました。
憧れの仕事に、魅力的で尊敬できる同僚や先輩たち。
まだまだ業務には不慣れなものの、充実した毎日を過ごしていました。
面接で好印象だった社長と会えることに
あるとき、社長が本社からご来訪されることに。
最終面接では穏やかな笑みを浮かべつつ、私の話を丁寧に聞いてくれた社長。
「一緒に頑張ってほしい」
と温かい声をかけてくださったことを思い出しました。
どうやら、お昼過ぎまでいらっしゃるよう。
「どこかで一言だけでもお話しできたらいいなあ」
と呑気に考えていた私。
その日を小さな楽しみに、業務にあたっていました。
食事の準備はばっちりと思っていたら……
当日、秘書とともにご来訪された社長。
先輩たちのピシッと引き締まった雰囲気に圧倒され、とても緊張しました。
それでも社長は誰にでも優しく接してくれていて。
改めて、素敵な方だなあと思いました。
それからしばらくして、先輩から頼まれた社長たちの食事の準備を進めることに。
ばっちり準備が終わったので、業務に戻っていると
「誰この箸置いたの!?」
と先輩の焦った声が!
何かあったのか、と急いで応接室に向かうと……。
気遣ったつもりが<マナー違反>していた!
「箸先が左側を向くように置くのがマナーよ!」
「これは反対でしょう」
「これだと、お仏壇へのお供え、という意味で失礼よ」
社長が左利きだから持ちやすいように、と気を利かせたつもりがマナー違反になっていたのです!
箸を置くときには、箸先が左側を向くように、持ち手が右手側にくるようにするのがマナー。
箸先が右側を向くように置くのは、亡くなった方への置き方なので、ご存命の方にすると失礼に当たってしまうのです。
幸い、社長はまだいらっしゃっておらず。
たまたま先輩が確認したところ、このマナー違反に気づいてくれたのです。
急いで箸の向きを変えて置くや否や、ちょうど社長が応接室へ。
先輩のおかげで無礼を働かずに済み、ホッとしました。
それからは、マナーについても勉強しています。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい