嫁姑間の不仲はよく聞きますが、筆者の友人・A美は姑ととても良好な関係を築いていました。しかし、A美の夫はハラスメント三昧。そして認知症を発症し、介護施設に入所したA美の姑は、お見舞いに来た息子に対し衝撃の一言を放ちます。

ハラスメント三昧の夫

私の夫は家庭ではモラハラ、会社ではパワハラ、実家では家事ハラとハラスメント三昧の男です。
子どものいない私は何度も離婚を考えましたが、私を実の娘のように可愛がってくれる義母の存在が、離婚を躊躇させていました。

私たち夫婦は共働きですが、私は一人で暮らす高齢の義母の世話をしていました。
介護の相談をしても夫は全く取り合わず、「そんなことはお前がやれば良いだろう!」「お前の稼ぎなんて大したことないんだから仕事辞めておふくろの面倒でも見てろよ」なんて言う始末。

自分の親なのに、まったく心配する素振りもありませんでした。

認知症を発症した義母

義母はだんだんと認知症の症状が発現してきていて、私はとても心配でした。
あるとき、私は義母から呼び出され相談を受けました。
義母が認知症の症状を自覚し始め、施設に入ることを望んでいると知らされたのです。

私は義母を引き取ろうと思っていたので、「お義母さん、一緒に暮らしましょう」と言うと、義母は「あんな息子とは一緒に暮らしたくないわ」と施設に入ることを希望しました。

義母と私は一緒に施設の見学をし、入居先を決めたのです。

夫婦で見舞いに行くと……

義母が介護施設に入居してから、夫は全くと言っていいほど面会にも行きませんでした。
認知症の症状が進行していることを施設の人から聞いていたので、私はできる限り顔を見せに行っていました。

ある年のクリスマス、施設の担当者から「クリスマスパーティをやるので、参加してくれませんか?」という連絡が入ったので、私たち夫婦は揃って参加することに。
義母は私の顔を見ると「A美ちゃん! 来てくれたの?」とニコニコしたのですが、夫が「母さん、久しぶり」と声をかけると、怪訝な顔をして「あなた、だあれ?」と言ったのです。

気まずい雰囲気

慌てた施設の人が「息子さんでしょ!」と言っても、義母は「え?」と知らん顔。
「なかなか会いに来れなかったから……」と夫は取り繕ったのですが、義母は「私には息子なんていないわよ。ねぇ、A美ちゃん!」と夫の存在自体を忘れているようでした。

施設の人も気まずそうにしていましたし、何より実の母親から産んだことすら忘れられた夫は、いたたまれなかったのか一人で先に帰ってしまいました。

義母の遺言

その後、義母が亡くなった際には、公証役場で作成した遺言書があり、財産のほとんどを私に相続させるという内容になっていました。

義母にとっては、モラハラ三昧の息子の存在は消したい記憶だったのかもしれないと思っています。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K