公共交通機関は様々な人が利用するものです。そのためお互いに譲り合ったり助け合ったりするのが理想ですが、なかなかそうもいかない場面もありますよね。今回は電車内の席取りにまつわる面白エピソードを友人が聞かせてくれました。

毎日の通勤電車で

友人のA子は郊外の自宅から都内の会社へ毎日電車で通勤しています。

田舎の駅ということもあり、都内まで1本で出られる快速電車は数も限られているため、必然的に毎朝同じ駅から同じ電車に乗る人たちは大体いつも同じメンバーになります。

その中の1人に、到着した電車のドアが開いた途端に他の人を突き飛ばすほどの勢いで押しのけながら進んでいき、座席を取りにいく中年男性がいました。

妊婦もいるのに……

A子は毎朝「危ないなぁ」と思っていました。

よくよく見ると、その中年男性にいつも押されたり突き飛ばされそうになっているのは、必ずA子を含む女性陣。男性には絶対にぶつかっていきません。
中年男性があえて自分より弱そうな人を選んでいるのは明らかでした。

女性陣の中には、マタニティマークをつけた妊婦もいるのに、それに気付いているのかいないのか、男性はいつもドンッ! とぶつかっていきます。
さすがに腹が立ったA子は、女性陣を守るために【本気】を見せることにしました。

受けて立ちますけど?

A子は昔から筋トレが趣味で、週に3日ジムに通ってマシンで本格的に鍛えています。

着やせするタイプなので普段は気付かれることはありませんが、実はかなりの筋肉質。
特に腕は鍛え上げていて、見事な上腕二頭筋が自慢なのです。

ある夏の朝、A子は普段のスーツ姿ではなくあえてタンクトップを着て家を出発し、そのまま駅のホームに立ちました。

ぶつかり常習犯の中年男性はA子の姿を見てギョッ……!
鍛え上げられた筋肉にひるんだのか、その日はいつものようにぶつかってくることはなく、A子のことを遠巻きに見ていたそうです。

A子は悠々と座席を確保。
しかし自分では座らずに、いつも中年男性に押しのけられて座れずにいた妊婦に「今日は座れますよ! どうぞ♡」と譲ってあげました。

まとめ

気まずくなったのか、翌日から中年男性は同じ時間帯のホームに姿を見せなくなりました。席取り合戦は終結し、お互いに譲り合える平和な雰囲気になったそうです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの