洋服を買いに行く時、店員さんにコーディネートのアドバイスをしてもらったり、似合いそうなものを選んでもらったりする人もいるのではないでしょうか。今回は私の知人Hさんに聞いた、オシャレなアパレルショップで、とんでもない接客をされたお話です。

イメチェンしたくて行ったお店

Hさんは転職先の新しい職場が私服で働ける会社だったので、イメチェンをはかるためにいつもは行かないちょっとキレイめの服屋さんに行くことにしました。

そのお店はいつも服を買っているお店よりもちょっと高価でオシャレなお店で、Hさんは前々からそこの洋服を着ることに憧れていたのです。

「新しい仕事も始まることだし、ちょっと奮発しよう!」
Hさんは銀行で多めの金額を引き出し、いざお店へ。

「いらっしゃいませー、どうぞご覧くださいませ」
ドキドキしながらお店に入ったHさんを迎えたのは、オシャレではあるもののちょっとやる気の無さそうな店員さんでした。

コーディネートの相談をしようとすると

Hさんはまず店内をぐるっと見渡し、気になったブラウスがあったので手に取ってみました。
「やっぱり素敵だな、でもちょっと派手かなあ……」
鏡の前でブラウスを身体に当ててみていると、鏡越しに店員さんがこちらをじろじろと見ていることに気付いたHさん。

「あのー、このブラウスってどんなボトムスを合わせたらいいですか?」
店員さんにコーディネートの質問をすると、返ってきたのはまさかの返事でした。
「どんなボトムスっていうか……はっきり言ってうちの店にお客様に似合う服はないですね」
「え?」
Hさんは耳を疑いました。
「お客様なら、あっちの店の方がいいんじゃないですか? お値段も手ごろですし」
店員さんが指さしたのは、向かいにあるちょっと庶民的なお値段で、カジュアルな服の多いお店でした。確かに今着ている服はこのお店とテイストが違いますが、服装で「この店の高い服は買えないでしょ」と品定めされたようで不愉快でした。

失礼な店員に仕返し

「もう結構です」
腹が立ったのでHさんはその店員の元を離れ、ちょうどバックヤードから出てきた他の店員さんに近づきました。
「すみません、このお店で私に似合いそうな服を選んでください!」
「かしこまりました。お任せください」
その店員さんは失礼な態度を取った店員さんとは違い、にこやかに微笑んで次々とHさんに似合いそうな服を持ってきてくれました。

全身コーディネートをしてもらったため、金額はかなり高額になりましたが、幸いHさんの予算内に収まっています。

「あの、お客様……」
Hさんが沢山服を買っているのを見て、例の店員さんが態度を変えて擦り寄ってきました。
「こちらはいかがですか? お客様にぴったり」
Hさんがお金を持っているとわかるところっと態度を変え、服を売りつけようとしてきたので、Hさんはますます腹立たしい気持ちになりました。
「あなたからは買いません!」
そうきっぱり断ると、その店員さんはすごすごと引き下がりました。

どうやらそのお店では個人の売り上げノルマがあるようで、後から自分が服を勧めることで、他の店員さんの手柄を横取りしようとしたようでした。
「ありがとうございます!」
親切に接客してくれた店員さんは喜んで、丁寧に服を包んでくれました。

それからHさんは度々そのお店に買い物に行っていますが、例の店員さんからは1枚も服を買っていないそうです。

何か理由があったのかもしれませんが、接客業にあるまじき対応をしたのですから、自業自得ですね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子