買い物する度にポイントが加算され、お買い物に使えるお得なポイントカードを、誰もが1枚は持っているのではないでしょうか。ポイントを貯めるのが楽しみになっている人もいるのでは? 今回は私が実際に経験した、ポイントカードにまつわるトラブルをご紹介しましょう。

ドラッグストアのポイントカード

当時私が働いていたドラッグストアでは、お買い物をするごとに某コンビニのポイントを貯められるカードが導入されたばかりでした。

「〇〇カードはお持ちですか?」
毎回レジでそうお客様に尋ねていましたが、まだポイントカードがさほど浸透していなかったため、持っている人はごくわずか。
「ポイントカード持ってない人はもったいないよねえ〜 」
私の同僚のHさんはかなりの倹約家で、お得な情報が大好きな主婦。今回ポイントカードを導入することになった時も、パートの中で誰よりも早くカードを作っていました。
「ポイントで買い物できるし、みんな早く作った方が良いよ!」
Hさんは私より早く上がるため、仕事帰りに私のレジに来てそう言いました。

私が働いているドラッグストアは従業員割引があるうえにポイントをつけても良いことになっていたので、Hさんは意気揚々と私にポイントカードを差し出しました。

「あ、結構ポイント貯まってるな……」
何の気なしにHさんのポイントカードの残高を見ると、かなりのポイントが貯まっています。

倹約家のHさんのことだから、何かお得な情報を掴んでポイントを貯めたのかな、とその時は気にも留めませんでした。

しかしそのポイントが、のちに大事件に発展することになるのです。

ポイントカードの会社からTEL

それから数日後、店の外線電話が鳴ったので近くにいた私が電話をとりました。
「お世話になっております。〇〇株式会社の△△と申しますが……」
それは、某コンビニのポイントサービスを提供している会社からの電話でした。

「店長! 〇〇株式会社からお電話です」
「〇〇? なんの用事だろう」
店長に代わるよう言われたため、店の倉庫にいた店長に子機を持って行くと、店長は不思議そうな顔をして電話を受け取りました。

数分後、電話を終えた店長は店頭で品出しをしているHさんに声をかけ、事務所に連れて行きました。
「あれ、Hさんどうしたのかな」
少し気になりつつも、私はレジでの接客に追われていました。

クビになったパート主婦

レジに並んだお客様が途切れ、ふっとひと息ついた私の目に映ったのは、まだ業務時間内であるにもかかわらず、私服に着替えて足早に店を出ていくHさんの姿でした。

「いやー、Hさんには参ったよ」
ちょうどレジの交代時間になり、店長が私のレジにやってきました。
「え、どうしたんですか?」
「うん。ちょっと色々あって、クビ」
「クビ!?」
思わず声を上げる私に、店長は困った顔で説明を始めました。

先ほどポイントカードの会社からかかって来た電話は、このような内容でした。
「この店舗を利用している、あるお客様のポイントカードにかなりのポイントが加算されている。ドラッグストアの買い物で、1日に何百ポイントも貯まるのはおかしいので調べてみて欲しい」
それを聞いた店長が調査のためにそのお客様の名前を尋ねてみると、まさしくパートのHさんの名前だったそうです。

なんとHさん、「ポイントカードを持っていない」と言ったお客様のポイントを、隠し持っていた自分のポイントカードにこっそりつけていたのです。

「さすがにこれは犯罪だからね、今日で辞めてもらった」
Hさんのポイントカードはすぐに利用停止になったそうです。いくら節約のためとはいえ、犯罪にまで手を染めてはいけませんね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子