私がまだサンタさんの存在を信じていた小学生低学年のころの体験談です。毎年母親はクリスマス前になると仕事が忙しくなるのです。不思議に思っていたところ……?

クリスマス前に忙しくなる母親

「あと何回寝たらサンタさん来るかな?」
「ちゃんとサンタさん来てくれるよね?」
と母にたずねることが増えるクリスマス1か月前ごろから、私の母はいつもよりも忙しそうにしています。

母は週5日パートに出かけていて、普段から多忙な人だという印象がありましたが、この時期だけは土日に短期バイトを入れたり、内職を持ち帰り夜な夜な作業していたりしていました。

毎年のことなので、そういうものなのだろう……と考えていましたが、お友達のお母さんは忙しくなさそうな雰囲気にほんの少しの疑問を抱いていました。

クリスマス

クリスマスには毎年、サンタさんへ手紙を書きました。

当時流行っていたゲームボーイやたまごっち、ときには少し値の張るものなんかもお願いしていた記憶があります。

私は妹と2人姉妹ですが、毎年お手紙に書いた通りの欲しかったプレゼントが届きました。
朝早起きしてもらったプレゼントを見せ合いっこしていたのを覚えています。

数年後……

小学校高学年にもなると、サンタさんはいないと知りましたが、クリスマスプレゼントは変わらずもらっていました。

このころには何万円もするCDコンポが欲しいなど、プレゼントの額も高額になっていましたが、年に一度のクリスマスだと必ず欲しかったものをもらえていました。

それから数年経ち、相変わらずクリスマス前に忙しくなる母に、
「どうしてクリスマス前いつも忙しくしているの?」
とたずねて、衝撃の真実を知ることに。

衝撃の真実

母は、父からクリスマスプレゼントや誕生日プレゼントを買うためのお金をもらえずにいたのです。

「生活費から買えるような金額のものにするか、どこかでお金を作ってこい!」
と一蹴されていたそうで、子どもたちにサンタさんとの思い出を作ってあげるためには、パート以外に働く必要があったと。

母の私たち姉妹への想いを知り、何年間も1人で戦ってきたのだと思うと涙が止まりませんでした。

私はそのとき、ちょうど高校生になりバイトを始められる年齢だったため、初めてのお給料で自分のことは我慢する母にブランド品のピアスをプレゼント。

まだまだ恩返しには足りませんが、母は泣いて喜んでくれて、これからもっと母を大切にしようと思えました。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Emi.A