浮気は男の甲斐性という言葉がありますが、そんな言葉で正当化されては、された方は気持ちが収まりませんよね。
今回は旦那さんに浮気をされて、「浮気は男の甲斐性」と言われた経験のある私の友人、Sさんから聞いたお話です。

旦那の浮気が発覚

当時Sさんは結婚10年目。ひょんなことから旦那さんの浮気が発覚し、旦那さんを自宅から閉め出していた時のことでした。

「こんにちは、Sさん」
Sさんと旦那さんの家に、お姑さんがひとりで現れたのでした。
「うちの息子が、浮気がバレたって言って帰って来たんだけど」
「ああ、実家に帰ってたんですね。どこに泊まってるのかと思いました」
Sさんはてっきり、お姑さんがなんとか旦那さんを家に入れてくれるよう頼みに来たのだと思っていました。

「あのねえ、浮気したうちの息子もバカだけど、浮気は男の甲斐性って言うじゃない」
「…… え?」
お姑さんはSさんの顔や身体をジロジロと見ながら続けました。
「浮気される方にも問題があるんじゃないかしら、Sさんって化粧っけもないし、全然色気もないじゃない」
「浮気されたのは私のせいってことですか?」
「そうは言ってないけど、浮気のひとつやふたつ、許してもいいんじゃないかしら?」
Sさんはお姑さんの言っていることの意味が全く理解できませんでしたが、適当に返事をしてお姑さんに帰ってもらうことに。

結局、その後旦那さんは自宅に帰って来て、もう二度と浮気はしないと土下座で誓ったことで一旦解決しました。

しかしSさんはお姑さんに言われたことが、ずっと心のどこかにひっかかっていたのです。

舅の浮気が発覚

旦那さんの浮気事件から3か月後、Sさんの家にお姑さんから電話がかかってきました。
「ちょっとSさん聞いて! お父さん若い女と浮気してたのよ、しかもマンションなんか借りてやってて! 私もう許せないから追い出したの!」
その後しばらくお姑さんが電話口で騒いでいたので、Sさんはとりあえず義実家へ行くと告げて電話を切りました。

「こんにちは、お義母さん」
「Sさん! よく来てくれたわね、ほんとお義父さんったらひどいのよ……」
「お義母さん」
Sさんはにっこり笑って、お姑さんの手を握りました。
「浮気は男の甲斐性でしたっけ? あ、あと浮気される方にも問題があるとか。確かにお義母さん、あんまり色気がある方じゃないですもんね!」
そこでぱっと手を離し、呆然としているお姑さんを放置してそのまま帰ってきました。

その後、義両親は熟年離婚したとのことです。浮気は男の甲斐性と言いながら、やはり許せなかったようですね。言ったことがそっくりそのまま自分に返ってくるとは……お義母さんには申し訳ないですが、スッキリしました!

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子