各家庭によって、離婚の理由はそれぞれ異なると思いますが、夫の思い込みや勘違いで離婚に至ることもあるでしょう。これは私の友人から聞いたモラハラ夫との離婚エピソードです。
モラハラに耐えかねて
私は夫のモラハラに耐えかねて、離婚をしようと考えていました。しかし子ども達もいることから、感情的な離婚はできないと思い、仕事を見つけて少しずつ貯金をし、準備を進めていました。
夫はとにかく自分が一番な人。自分よりも子どもを優先しただけで怒鳴り散らすようなモラハラ夫です。逆上させたら何をされるかわからないので、水面下でこっそりと準備していたのです。
夫からの申し出
ある日、夫から急に改まって「話がある。」と言われました。何を言い出すのかと思っていると、
「俺いまモテ期みたいでさ、この間お前より100倍いい女を見つけたわ。正直お前と一緒にいる意味がないから離婚して欲しい!」
突然の申し出に驚いたふりをしながら、私は内心「やった!」と思っていました。何より『モテ期』と舞い上がっている状態の夫は、私と離婚するためにさまざまな条件を出してきたのです。
慰謝料・養育費はしっかり払う、家は私名義に変えて住み続けても良い……これは渡りに船でした。その上「いつまでもお前とつながっていると彼女が嫌がるから、親に立て替えてもらって一括で支払う」という条件までつけてくれました。
私の思い描いていた離婚よりも素晴らしい条件で、私たちの離婚はあっという間に成立したのです。
離婚後の連絡
離婚後、私は子ども達と本当に穏やかな毎日を送っていました。逃げるように離婚するつもりだったので、こんなに恵まれた条件で離婚できたことに心底ホッとしていたのです。
離婚して半年が経ったころ、急に元夫から連絡が来ました。何事かと恐る恐るメッセージを開くと、とにかく連絡をして欲しいというセリフでいっぱい! 何をされるかわからない恐怖がよみがえり、とりあえず一度連絡をしてみることにしました。
モラハラ夫の末路
元夫から電話がかかってきたので、話をすると、思いもかけない事態が待っていました。
何と「100倍いい女」と言っていた相手は美人局で、高額のお金を搾り取られておしまいになってしまったとのこと。「モテ期」と言っていたのは、どうやら会社内の女性たちの事だったらしく、ただ単に元夫をからかって陰で楽しんでいただけだったと言うのです。
「やっぱりお前たちと一緒に暮らしたい。よりを戻して欲しい。」
私は冗談じゃないと思いました。ようやくモラハラから解放されて、子ども達と手に入れた平穏な毎日を荒らされるわけにはいきません。
離婚までの経緯をもう一度思い出して欲しい、私はもうあなたにできることはないと言って、電話を切りました。
元夫が家までやってきて……
執着心の強い元夫は、あきらめませんでした。電話が頻繁にかかってくるようになり、ついには私の仕事帰りを狙って、家までやってくるようになったのです。
ある日、マンションのエントランスで待ち伏せされ、急に泣きついてきたので、私は警察に通報。「不審者がいます。」と言ったせいか、元夫は警察に連行されてしまいました。
思い込みの激しさが仇に
元夫からの連絡は、この通報をきっかけにピタリとなくなりました。元夫の同僚によると、警察の介入が会社に知れ渡り、元夫は地方の支社へ転勤になったそうです。
自分をモテ期だと勘違いし、美人局の女性と再婚しようとした哀れなモラハラ夫……思い込みの激しさが仇になってしまったのでしょう。もうこれ以上、関わることはないですけどね。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K