親が認知症になってしまったら、考えなければならないことがたくさんあります。

「介護はどうするの?」「必要な手続きは何があるの?」など……。その中でも、最も注意するべきことが財産の管理です。とりわけ「勝手にお金がおろされている」といった場合は、相続に至るまでにトラブルが発生する可能性が十分あります。

では、親が認知症になったときの財産管理はどのように行えばよいのでしょうか。まずは、銀行口座にまつわる相続争いの実態を知っておきましょう。

■認知症になった人の銀行口座は凍結されてお金がおろせない

預金者が認知症になった場合、詐欺や消費者トラブルに巻き込まれないように、銀行口座は凍結されることになっています。

凍結された銀行口座からお金を引き下ろせるのは、選任された成年後見人のみです。ただし成年後見人の選任手続きには、3カ月以上かかることがあります。

預金者のために今すぐお金が必要なときや介護施設に入居させたいときでも、凍結された口座から成年後見人以外がお金を引き下ろすことはできません。

なお、預金者が認知症となっていることを銀行側が確認していなければ、銀行口座の凍結は行われません。その間は、預かっているキャッシュカードと暗証番号を知っていれば、口座から誰でもお金はおろせます。

ただ、家族がキャッシュカードを預かって口座の管理をしていることを、他の親族が把握していない場合には注意が必要です。

口座からお金がおろされていることを不審に思った親族との間で、引き下ろされたお金の使い方について争いになることも珍しくありません。

その争いが原因となって、相続の際に遺産分割交渉が行われず相続争いに発展する最悪のケースも起こり得ます。

■認知症になったときに家族がお金をおろすためには?

では、親が認知症になったときに、家族が銀行口座からお金をおろすにはどうしたらよいのでしょうか。

●基本的には認知症後、成年後見制度の利用が必要

上述した通り、成年後見人の申し立てを行って、後見人手続きをする必要があります。

●お金の使い方を証明できるように領収書を保存する

こちらも上述した通り、預金者が認知症になっても銀行側が把握していなければ、預かっているキャッシュカードと暗証番号でお金は引き下ろせます。

ただし、相続争いにまで発展することを防ぐためにも、引き下ろしたお金をどのように使ったかわかるように、必ず領収書やレシートを保存しておきましょう。

●認知症になる前に任意後見契約を結んでおく

凍結された口座からすぐにお金を引き下ろしたいのであれば、認知症になる前に任意後見契約を結んでおくことが大切です。その場合、認知症になっても任意後見人が預金を引き下ろすことができます。

なお、この手続きは成年後見人の選任よりも短く期間で終わることがあります。

親が認知症になったとき、介護・手続き・お金の問題が一度に押し寄せます。心配であれば、事前の準備は念入りに行っておきましょう。

文・fuelle編集部