米大リーグでは15日(日本時間16日)に「ジャッキー・ロビンソン・デー」が催され、全選手が背番号「42」を着けた。この試合後の時点で両リーグ最高勝率は、12勝5敗(勝率・706)のヤンキース。前評判の高いドジャースやブレーブスを上回る好スタートを切った。

昨季は82勝80敗のア・リーグ東地区4位で、7年ぶりにポストシーズン進出を逃した。昨オフは本命視されていた山本由伸投手(25)の争奪戦に敗れ、開幕前には昨季のサイ・ヤング(最優秀投手)賞を満票で受賞したエースのゲリット・コール投手(33)が右肘痛で離脱。復帰は早くても5月末の見込みだ。

米データサイト「ベースボール・リファレンス」は開幕前にヤ軍を地区最下位と予想(優勝はオリオールズ)。ポストシーズン進出の確率は2・7%としていた。

そんな重苦しいムードを吹き飛ばしたのがフアン・ソト外野手(25)だった。パドレスから大型トレードで移籍した左打者は「2番・右翼」に定着。ア・リーグ西地区4連覇を狙うアストロズとの敵地での開幕4試合で打率・529(17打数9安打)、1本塁打、4打点を挙げて4タテの原動力となり、開幕週の週間MVPに輝いた。

ヤ軍は続く昨季ナ・リーグ覇者のダイヤモンドバックスとの3連戦も勝ち越し、ロードでの開幕7試合を6勝1敗で終えて波に乗った。本拠地でのソトは「SOTO ♥ NY」と書かれたスパイクで出場。8日(同9日)のマーリンズ戦ではピンストライプのユニホームで初アーチとなる2号3ランを放ち地元ファンから大歓声を浴びた。

「ファンの熱が想像以上でスゴいね。ヤバいくらいだよ」

ソトは四球が多く出塁率が高いのも特長。ナショナルズ時代のコーチがヤ軍にいることも好調の要因のようだ。ソトが多く塁に出れば、2022年に62本塁打をマークした3番打者、アーロン・ジャッジ外野手(31)が打点を稼ぐチャンスも増す。

ソトは1年契約で、代理人は敏腕のスコット・ボラス氏。今季のMVPを獲得するようなら、次回の契約内容は大谷クラスになる。 (元全米野球記者協会理事・田代学)