コロナ前は当たり前のように全国各地で花火大会が開催され、老若男女が楽しんでいた日本の風物詩・花火。前クールのドラマ『君が心をくれたから』に続き、4月スタートのドラマ『6秒間の軌跡〜花火師望月星太郎2番目の憂鬱』でも、花火師が主人公として登場する。身近なようで、良く知らない花火の世界。フィルム時代から花火のある風景を追いかけてきた写真家、ハナビスト・冴木一馬が今年も展覧会を開催する。

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テーマは「indifference」

独自の視点で長く花火を撮り続けているハナビスト・冴木一馬が、2023年に引き続き今年も展覧会を開催する。今回のテーマは「indifference」。

直訳すると「無関心」である。

様々な世の中の問題に対して無関心で良いのか?という問いかけを花火という被写体を使って冴木流に表現している。

因みに昨年は「As it flows」(流れのままに)だった。


昨年開催の展覧会


一見花火に見えない作品たち

フィルムからデジタルにカメラを持ち替え、現代の器械によって撮影した花火の数々。

「私たちは常に社会の流れにあって、起床する時間、食事をする時間、スポーツをする時間など様々な制約の中で動いています」

その言葉通り、花火の速さにオートフォーカスが追いつけなかったままにシャッターを切った1枚、また、ドシャ降りの雨の中、レンズに水滴が付いた状態で撮影したものなど、今までにシャッターを切ることがなかった瞬間。それらを敢えて、時の流れに逆らわず撮影した写真群は見る人を驚かせた。

そして印画紙・額装という概念から逸脱し、デジタル社会ならではの技術と方向性によって、壁紙のクロスやわら半紙、Tシャツ(布)などへプリントされた作品群はなにを表しているのか。

「アナログ時代は、ほとんどが銀塩写真に額装という体系を取っていましたが、デジタルによって何でもできるようになったことで、ある意味、真実を映すイコール写真という概念から離れてきたように思います。皆がとにかく自分が目立とうと、そのような作品ばかりが評価されるようになりました。そんな時代を象徴しています」

作品は多彩で、橋の上の車中から撮影したことで、振動で波打っている花火、一斉に打ちあがり煙で遮られた花火、シャッターを切った瞬間に傍にいた子どもが三脚に手を触れてグニャリと回転したような花火もある。

また、ドイツの元首相メルケル夫妻が仲良く花火を見ている様子、わら半紙にアラビア語の新聞をモノクロでコピーして、その上にネガに反転した花火をカラーコピーしたものを50枚で水面に反射するピラミッドを表現したものなど多彩である。

わら半紙を使用したのは私の子供のころのイメージ、紙と言えばわら半紙でした。そこに中国で火薬花火が発明されシルクロードを渡り西欧に広がりますが唯一、途中の中東には火薬文化が根付きませんでした。火薬は当初花火ではなく武器として利用され発展を遂げますが、中東には「燃える水」石油があったのでいちいち面倒な火薬を製造しなくても簡単に武器が作れたためで、現在でも花火業者はありません。

しかしながらアフガンなどをはじめ紛争は長く続いています。そこでアラビア語の新聞を使い、花火の写真をネガに反転したもの(ネガティブをコピーして作品にしました。