人は「得」をするより、「損」をするのを避ける行動をする

意識的にしろ、二次利得のような本人が自覚するのが難しい無意識的なものにしろ、人間は常に自分のメリットのために行動を選びます。

たとえ、ボランティアや無償の行為であっても、それを通して社会貢献をしたい、人を助けたいなどの自己実現、自分の生きたい生き方を実行するというメリットがあるわけです。

それはずるいことではありません。そうやって生き延びてきた祖先たちの生き残りが私たち。進化の過程でDNAに組み込まれたプログラムのひとつだと思ってください。

そのメリットを得るための行動モチベーションは、大きく2つしかありません。

(1)何かを手にする(プラスを得る)
(2)損失を回避する(マイナスを避ける)

このどちらかです。

特に人は、損失を回避しようとする傾向が非常に強いことがわかっています。

これは行動経済学のひとつ「プロスペクト理論」の損失回避性と呼ばれるもの。人は何かを「手に入れる・得をする」ことよりも、「損をする・失う」ことを回避しようとする傾向があるというものです。

あなたがいま抱えている問題がなかなか解決できないのは、問題をもっていることで得られる「メリット(損失を回避できる)」があるからこそ。

その問題を解決しない方がうまくいく(損失を回避できる)と、ナイトくんがあなたの自覚できない無意識の領域で判断しているからなのです。

※本稿は、『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学―』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。